図書12月号のつづき。
◆十七文字で言えること
全国高校生俳句大賞の入選作より。
雨匂う遠足だった日の授業
面談を終えふくらめる蝉の声
あとのほうは、岩にしみいる、に匹敵する傑作ではないだろうか。
付け足しするのはヤボだと承知しつつ。
ゆるむと、音が聞こえる。
ぼーっとしたのから醒めると鳥の声が。というのは北の丸での日常だ。
そのために行く。
この作者は、おれのようにただぼーっとしているのではなく、進路をめぐり先生と真剣勝負だ。
蝉の声が「ふくらんだ」のだから、きっと、とどこおりなく終わったのだろうね。
ほっと一息。
雨匂う は、たとえば今日だよ。
雨の匂い。
当方のように、ぼーとして、ぼーっとしてばかりですみません、ぼーっとして、そういうえば雨の匂い、というぐーたらおやじもいえれば。
もうひとつの日常を領する「匂い」
ちょっとがっかり、でも日々やっていくってこういうことだよね。
豊かというのは、こういうことです。
自分の五感と、それから時空間と、こうやって折り合うのです。