啓発舎

マジすか? マジすよ

北の丸のいつものベンチでぼーっとしていたら、茂み越しになにやら右左するかげがある。
よくみたら、キジバトだった。
構わず、そこらをながめていると、先方は、右に左にゆらゆらしながら当方との間合いをつめてくる。
地べたをつっついたりしないので、別に目的はないがひまだから散歩している、という様子にみえる。
キジバトはつがいでいることが多いが、今日のは単独だったので、なおさらそう見えるのかもしれない。
広場でみかけるのと違って、ほの暗い樹林の中だと、お互いの存在が、完全に対等になる。
互いを観察する二つの個体。
こっちがよそものなのは間違いないから、おれが見物されていた、というべきかもしれない。
だが、それにしては、間抜けがぼーっとしてる、と、誰でもわかる景色に、なぜにじり寄るか。
相手のそぶりからして、縄張り示威行動ではないのは明らかだ。
キジバトは人にねだらないから、食い物がらみでもない。


しばらくすぐそこをうろうろしていたが、来た時と同じように茂みの奥に去っていった。


暇人同士の邂逅というところか。