啓発舎

マジすか? マジすよ

N響
第1881回 定期公演 Bプログラム
武満 徹/ノスタルジアアンドレイ・タルコフスキーの追憶に(1987)*
武満 徹/遠い呼び声の彼方へ!(1980)*
ワーグナー/楽劇「ニーベルングの指環管弦楽曲
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
ヴァイオリン*:諏訪内晶子



昼に仕事がらみでトホホがあったので、気分をかえようと溜池山王方面に向かったの。

コンサートに通う一番の意義はこれで、指揮がどうだの楽員がちんたらだのこのところ悪態をつくことが多いが、少なくとも気分転換にはなるので、帰りのビールワインは、それなりに旨い。

ここまで前置きすれば賢明な読者は次に続く流れを御拝察だと思うので、言わでもがなは避けたほうがいいのかもしれないが。
きちんと書くのはおいらの義務だ。

今夜はどうだったか。


泣きっ面に蜂、だったよ。


つべこべ言いたくない。
前半、武満の曲がおわって、指揮者独奏者のでたりはいったりで、当初から力のなかった拍手が、ほんとにやみそうになった。
後半のワグナーでも指揮者ヤルヴィへの拍手は湿っていたが、ホルンの福川氏、オーボエの吉井さんを立たせたときだけ盛り上がった。


お客様の反応が今夜のコンサートのすべてを語る。
おれが差し出がましく言う必要はない。



では個別に。

武満の諏訪内さんは、おれはよかったと思う。
白玉音符だらけのこういう曲を、羊羹みたいなずん胴の音で聴かせる。
と思うと、きしみ音とかフラジオとかのキーキーいわせる。
武満には悪いが、おれの武満像は、ドビュッシー、白玉音符、内声もやもや、雅楽的はったり、の複合で、とくに晩年は、自分の模倣に終始した、というところ。

前半二曲は、だから、同工異曲。
どうしてこういうプログラムを組めるか。
テレビでやるときヤルヴィが能書きたれると思うが。


で、諏訪内にもどるが、羊羹サウンドとキーキー効果音で、なんとか最後までおつきあいできた、おれは。
折角溜池くんだりまで出かけたのだから、すこしは楽しみたいってもんよ。

張る、とか、かますのも華のうち。


ついで。
あとのほうで、チェロ桑田氏ソロがちょっとあったが、弦チェレの出だしにそっくり、一瞬武満のバルトークに対するオマージュかと感じた。バルトークと武満は、なんか食べ合わせ悪いし、おれの気のせいか。わからん。


後半。
ワグナーをここまで退屈にやれるのは、ある意味才能というべきか。


息子ヤルヴィは、テンポをきざんでいただけ。
弾いてる奴らはほぼ全員サラリーマン根性。
今夜のパフォーマンスはボーナス査定に響く。
おまえら全員6月臨給3割カットだからそう思え。
とおれが事務方トップを代弁しておこう。


恒例MVP発表。
オーボエの吉井さんできまり。
理由。
チューニングのA音の柔らかい美しさ。
M木のチャルメラを聞きなれた耳を洗ってくれた。



ヤルヴィは、こうなると、誰がタオルを投げるか、という局面か。
後任は、当然、デュ♂ワで衆議一致でしょう。
ところでデュトワ12月の細川作品は、おれが選ぶベストパフォーマンスだ、男気だして放送してくれよ。
NHKに義侠心というものがかけらでもあれば、プロデューサーの首をニ三個さしだす肚があればなんとかなるよ。


トホホで寄り道せず帰宅後ビールワイン。