啓発舎

マジすか? マジすよ

箱根のことでも書きましょうかね。


定宿はあり、今回もそこにお世話になった。
接客が気に入って通っている。
箸が転んでも文句を言うおれさまを満足させるサービスを提供する宿は、そうはない。
ここで、ほしのやも脱帽、するだろう、という、その宿の接客の極意を明らかにしたい。


それは、徹底的に、とことん、客を、ほっとく、ことだ。
ほったらかしにする、のが急所。徹頭徹尾。


めしなどどうでもいい。部屋は寝られればいい、設備は温泉がかけ流しなら猿と一緒でもきにしない。

ちょっかいだされるのだけは勘弁だ。
丸の内に進出して、純和風でいらっしゃいませのおもてなしを究める、とかいってる星野リゾートの大将など、だから、気は確かか、と思うよ、おれは。
好き好きか。


旅先でも、おれに構うな、を追究するのなら、そもそも出かけなきゃいいじゃねえか、と自分でも突っ込みをいれたくなるが、たまに空気をかえる、というのは、虫干しの快さみたいなのがあって、体が要求する、ようだ。


今回は、拡声器の阿鼻叫喚を避ける、という動機もあり、帰りは土曜の夕刻だったので、その目的はおおむね達成された。

箱根で聞こえるのは終日鳥のさえずりのみ。
箱根のウグイスは、北の丸より歌はずっとうまい。
ライヴァルが多いからだと思う。
ただ、ときどき端折るのがちょっと気になった。
ホーを省略して、いきなりホケキョと唱える。しかもそれを連呼する。
ホケキョ、ホケキョ、というかんじ。
また、最後の、チキチキという三度音程も、長三度から短三度へ、ミドミドミド♭ミド♭ミド♭ミド、と、要は主音がドだとすると、ハ長調からハ短調へ、マーラー6番冒頭のトウッティの咆哮をお上品にしたような推移があり、これはまことに音楽的で、興が尽きない。


で、今はといえば、拙宅ソファでぼーっとしてこんなこと書き散らしているのであります。
ここはここで、静かではあり、ぎりぎり、閑、と、この空間を形容してもいいような気もする。


よくもまあぬけぬけと。
どうもすいません。