啓発舎

マジすか? マジすよ

カワセミさん

善福寺川公園でカワセミに遭遇した。
池のまわりをぼーっと散歩していたら、前方にカメラの砲列。砲台状のカメラの一方のはじにはおやじがしがみつき、そしてもう一方のはじの銃口のはるか先の池の小枝には。おお、まごうかたなき、青い宝石のような小鳥のたたずまい。
というわけで、おいらも、しばらくそこで時間を過ごしましたとさ。


思ったより大きい。青と、それからくちばしの下のオレンジの鮮やかな色合い。
ずいぶん前からその枝にとまっていらしゃるのか、ひとしきり親父たちもシャッターを切り尽くしたようで、私が通りがかったときは、ひまそうに雑談している仁もいた。

カワセミは、小枝にとまり、たまに小首をかしげる程度。
遠目でよくわからないが、あまり警戒したり、いまにも飛び出そうという構えでもなさそうだ。

第一印象は、月並みだが、青の美しさ。
目立つ。
自然界で、こう目立つのは、どうなんだろう。

カメラなしで無為に立っているのもおやじたちに煙たがられるかと、すこし離れたところに移動。
岸のおやじ蓮とカワセミ氏を等しく観察できる好位置だ。

カワセミさんは、たまにきょろきょろする程度なので、観察対象としては、おやじのほうが面白い。

一番でかいのは、開口部の直径20センチ、長さは2メートルぐらいありそうな、大和に積むようなブツがあったぞ。
20センチ砲。
これを、近所か遠方かしらないが、この公園に運びこみ、組み立て、待つことN時間。
出会えた僥倖かみしめつつファインダーを覗きこむおやじ。
もってるブツはプロ級だが、おやじはあきらかにトウシロだ。

おめえら、ひまか。


おれもだが。


二三年後、自分もやっていそうな。


池をはさんで向き合うカワセミとおやじたち。
俳味。


都合20分ほどその場にいたであろうか。
カワセミ氏は、全然動こうとしない。
完全に被写体、モデルと化している。
おそらく彼、か彼女かもしれないな、はその状況を正しく認識している。

カワセミさんは、向かいのおやじたちをどう思っているか。
ばーか、という面持ちではなさそうだ。それはおれだ。

どう、きれいに撮ってね、という風情か。


というように感情移入しておやじははまっていくんだろうな、おいらもあぶないな、など思いつつその場を立ち去ったのであったよ。