啓発舎

マジすか? マジすよ

きのう、きょうと白金なんとかタワー関係のお祭り。特設ステージまで作る豪華さ。きのうの晩、いつものとおりしょぼくれて地上にあがると、なにやらそこら中人でにぎわっている。のみならず、なんだか音のかたまりが聞こえてくる。というわけで、ふらふら迷い込み、しまいには、こんにゃくだのカルビだのまで食ってしまった。
ジャズも少し聞いた。バンマスのMCからすると、プロ、のようだ。
演奏は、隔靴掻痒。
ジャズは、はまるか、はまらないか、だけだと思う。
はまらないと、じれったい気持だけ増幅する。後半女のヴォーカルがはいって少し救われた。ただの伴奏になるから。
ヴォーカルは、楷書で好感がもてた・・・、などと、マンションの自治会のアトラクションに、なにを小うるさく言っているんだ、おれは。

最近音楽を聞かない。

のではあるが、このところ思うのは、音楽の究極は、竹林のそよぐ音とかの自然の音は別にして、およそ人間が発生する、なんらか秩序のある音のつながりの究極は、普通の日常会話ではないか。ということ。

9時5時当方の向かいに座っている去年入社したばかりの新人のお嬢ちゃんの抑揚が滅法気持いい。先輩のお姐さんに割合きつく言われて、わかりました、と応えるその言葉のつらなり。微妙に上下する音高。
性差にまつわる感情は、まったくない。純粋音楽として、鑑賞できる。

こういうものをしみじみ聞いていると、モーツアルトもあざとく聞こえる・・・ことはないか。それはそれでいいか。

で、今日、F氏に自宅まで迎えにきてもらって下北沢でひと仕事して恵比寿でおろしてもらって香月でみそラーメン食ってうまくて店を出て、ふと右をみると楽器屋の看板がある。同じビルの4階がギター専門店だったのね。
 気まぐれではいって狭い店内を見渡すと奥にマーチン45が飾ってあってキラキラきれいだなと思ってみとれているとやさしそうな店主、だとおもう、にどうぞなどと言われていい気になって何年ぶりかにギターをいじくってしまった、しかもマーチンD45を。

 あの、シャラーンという音。
 低音を右手でミュートしてズンズンチャラチャラとニールヤングのまねごとをしていると店主が「おお」とか言って受けてくれた。

 だんだん当時の手癖がよみがえってきて、おそらく20分ぐらいは油を売ってしまった。
 体に、もわっと、ガキのころのあれこれが一度によみがえってきた。

 店の人が商売上手なのか、少しは本気で当方につきあってくれたのかはわからないが、こんどミニコンサートやりますから、そのときは、なんて話になってしまった。
 当方も、昔の仲間に声かけて、などと受けて、それでは、と丁重に礼を述べお店をでたが。

 あまり、こういうことにひたらないほうがいいのかもしれないな、と、5月中旬にしては妙に肌寒い曇り空の中で感じたのであった。

 楽器も一瞬ほしいと思ったが、買わないでおこう。95年ものだが状態がよく、おそらくまえの持ち主が弾かないで飾っていたのではないか、ということだった。ヴィンテージ楽器ではよくあることらしい。
 51万円。店主は、破格だ、と言っていたが、当方には基準をはかる物差しがない。ただ、乏しい当方の懐具合でも、気まぐれで手をだせる範囲という値ごろ感はある。

 買わない。

 帰りにマンションの祭りにまた顔をだすと、ステージでは女がマイクを握りしめて、クイズの司会のようなことをしていた。例の女子アナなまりで。早々に退散。