啓発舎

マジすか? マジすよ

N響。テレビ。

ベルクのVnコンチェルト

端正ないい演奏だった。
テレビだから音の印象は割り引かないといけないが、下野氏は、N響から、丸いやわらかい響きを引っ張り出す。

ベルクは、完全に古典ですね。
独奏ヴァイオリンは、この曲に必要なぴんと張った糸のような精神の状態を維持して清冽といってよい演奏。
才能です。
これもテレビだから実演を聞かないと確定的なことは言えないが、豊饒というよりは繊細、暖かいというよりはクール。
ジャニーヌ ヤンセンなんかと対極。


ここで脱線。
ヴァイオリンについて。
まず、ヴァイオリンの音自体は、特に高音は、ずっと聴いていたい、という音ではない。
はっきりいって大好きとはいえない。
という前提。

きのうおとといと弦楽器フェアにいた。
そこら中で試奏している。
キラキラ星みたいなのはおらず、腕自慢がドウダしている、というのが普通の景色。
だんだん、私をみて、自分にうっとりモード、になるのはいたしかたない。
音もおのずから大きくなる。


その音。


私は、Vnの表現力というのは、畢竟、この音、アマチュアの出す強い音にある、と思う。


焦燥、激しい険しい、ささくれだつ、というような。
そういう表現に最も適する。


東洋系のヴァイオリニストが、最近、ほんとに、よい。
諏訪内氏も、みどりも、今夜聞いた人も。
共通するのは、そういう、美音とか、そういうことをもはや意識しない、ひたすらな表現意思。


凄い、と思う。


褒めている。


十分距離をおいて、なるべく客観的になれる状況で鑑賞したい。


戻す。
ルルもよかった。
インタヴューで、暗い音楽、みたいなことを言っていたが、実際、ルルの筋書きは救いようがないのではあるが、この指揮者の音楽性だろうか、聞こえる音は、これも、丸くて豊穣。

この人あたりに、N響オーマンディフィラデルフィア化プロジェクトを推進していただけないだろうか。