啓発舎

マジすか? マジすよ

楽器フェア 二日目
出展作品によるコンサート。
楽器のデモは好きじゃないので、この種にわざわざ出かけることはないのだが、チャリ10分、しかもただ、期間中の入退場はフリー、なのででかけた。
これが大当たり。


出展作品11本のチェロを試し弾き、のレベルではなく、ソナタ提示部全部ぐらいのボリュームで演奏する。
奏者は、知らない人だったが、コンクール歴多数。

◆当方の事前予想と結果の印象は、全く異なっていた。

◆楽器の個性が感じられるところとそうでないところが顕著だった。

◆結局は音楽がものをいう。

◆チェロの魅力は、やっぱり中音域だ。


まず、結果の印象から。
11本のチェロが登場。
海外2本、国内9本。
個人製作者9本法人出品2本。

一番よかったのが1本。これはダントツ。
ダメも1本。これも明らか。

中間は、甲乙つけがたく、曲のでき、奏者との相性もあるので順位はつかない。が、個性はよくわかる。

まず、一等賞は、国内法人出品だった。
おれは、楽器店の自前作品、あるいはフランチャイズは、評価しない。
あからさまな売らんかな主義がみえみえだから。
と、きちんと用心して、だまされざいぞ、と思っている。

従って、法人出展には脇をしめて臨むのだが、それでも、印象は圧倒的だった。
低音から中音にかけての丸いふくよかな音。
暖かい。
曲はブリテンの三楽章で、調性はあるが、全編歌うという曲ではないにもかかわらず。

中間の9本は、どれも水準以上。
はっきり傾向として感じたのは、国内は、生真面目、海外は、色気あり。
よく、クレモナをありがたがるのは日本人のブランド信仰だと否定的にいわれるが、今日聴いて、それ、というのはクレモナ志向は一理あるな、と思った。
各弦をきちんと鳴らす、ということにかけては、誠実に作ってある楽器は、それなりのレベルに達する。
ただ、つや、というかコケティッシュな感じ、言語化不能のニュアンスが、今日聴いた海外作品二本ともに、あった。



環境とか伝統とか或は製作者の民族性とかに言及するのは、安易なレッテル貼りだ、やめておこう。


ダメ作品は、これは予想どおり法人出展、しかも、ネットで作品のみならず製作者をも喧伝しているやつだった。
音が固くて話にならない。


奏者に一言。
低音中音の個性はわかったが、高音域が、概して同じように響く、この奏者の手にかかると。
具体的には、A線ローポジションの音が固く、ハイポジションは弓圧の感覚あり。
楽器にかかわらず奏者の「音」というのはあるのだね。


そのせいか、チェロは中音域だな、ということをしみじみ感じました。


楽曲については、ベートーヴェンの3番とブラームス1番のそれぞれ一楽章を相次いでやって、今の当方には、ブラームス節が生理に合う、ということがわかった。


という、先入主がはずされる快い驚きに満ちた1時間45分でした。


なんか、得した、というかんじ。


われながら散漫。
情報量が多かったもので。
後日もう少し整理するかもしれない。