ほんもの、の、反対語は、まがいもの、とかそういう言葉だろう。
Aに対する非Aだから、このふたつですべての事象を分類できる。
ところで、ここに、ほんものにせものの区分になじまない集合がある。
ばけもの、かぶきもの、など。
にせもの、まがいもの、では決してない。では、ほんものかというと。
おとといの怪演は、そういう、美醜、良否などの判断を超えて屹立している、わたし、という外部環境の中で。
笑える、ところも確かにあった。
ギュルギュルしたエネルギーを感じられるところもあった。
ブラ4二楽章でヴィオラの川本さんの熱血は凄かった、アントニオ猪木なみのストロングスタイルだ。キュッヒルおじさんに煽られたか。
ブラ1終楽章福川氏のソロは、クララさん私はあなたを愛しますでは、最早なく、戦闘開始のほら貝みたいに雄渾であった。
パーヴォはただただつまらないだけだが、おとといは堪能した、といえる。
あと、おとといに限らずいつも思うのは、チェロ藤森氏は、のってくると、痙攣のような動作でセクションをあおる、だいたい、頭打ちとかきざみの、強い音のところだが、ブラームスであの動作はどうか。
ショスタコやらプロコならわかるが。
N響は、パーヴォでわるいくせがついて、強奏のとき、音が濁る、特に弦。がさつく。
これは、なんとかしないと後をひくと思うよ。
次回はソヒエフで、この人は、豊饒な音をもっている。
ソヒエフさんお願いしますよ。
オーマンディーフィラデルフィアみたいな、ゴージャスサウンドを次回は聞かせてくだせえ。