啓発舎

マジすか? マジすよ

毎年この日になると、この界隈は朝から不穏だ。
窓から見える限り、あらゆる四つ角に立哨が立つ。
朝方、拡声器の雄たけびが数回聞こえたが、すぐやんだ。今年は、いまのところ、官憲がほぼ完全に抑え込んでいるようだ。

雨だ。


昔、レオンという男のファッション誌があって、やり手の編集長がジローラモなんかをひっぱりだしてきて「ちょいむちおやじ」というキャッチで一時期数字をかせいだ。
で、その編集長は、その後、お定まりの内輪もめでそこをおん出たとおもうと、競合誌を出して古巣と張り合ったりした。
ターゲットは、ひと世代上の文字通りじじいに置いたあたりに、全面戦争を避ける戦略が感じられた。
新しいキャッチは、「いきじい」だ。粋なじいいさん、というほどの意味か。
で、グラビアで、黒沢年男、だったと思う間違ってたらごめんなさい、が粋に境内で手を合わせるの図にあわせて、「いきじいのお宮参り」とかふってたのを見て、こりゃだめだ、と思ったら、案の定あっけなく休刊となった。


志半ばで力尽きた編集長なんとかさんの意を継いで、おれはいま、この言葉の復興に敢然と立ちあがる決意を固めたのであった。
「粋じい」の時代の到来だ。


何が言いたいのか私は。


いえね、ジュリーニを聞いていたら、かっこいいじじいはかっこいい、と頭の中で同義語反復の連鎖がとまらなくなって、どうしてもこれを顕彰したい、かっこいいものはかっこいいの連鎖を断ち切るフレーズはないか、とぼんやり考えていたら、この言葉が浮かんだのよ。


正午だ。黙祷一分間。