◆恵比寿の有隣堂で立ち読み三昧。帰り一丁目のラーメンビルで豚骨ラーメン食ってひいらぎやの鯛焼き持ち帰りで買って、帰って、いま紅茶で食ってる、うまい。
ユリイカでタランティーノの特集やっていて、しばし立ち読み。蓮見重彦氏と黒沢清氏の対談白眉。途中で突然小さなエピソードを挟み込むのは、そこで時間間隔が途切れるような気がするが、との蓮見氏の感想に「へたなんですよ」と応える黒沢氏。さすが実務家、監督。
タランティーノのインタヴューも面白かった。日本の漫画家がインタヴュアー。ランダ大佐のセリフについて、あれは深い、どういう意味か、とたずねる漫画家に、とくに意味なんてないんだよ、なりきって脚本を書いていたらああいうセリフができただけ、てな感じで応ずるT氏。ヒトラーがハチの巣になるのも、書いてたらそうなった、んだそうな。
まあ、ほんとかなあ、というところはあるが、ゆるい感じは確かに当方も受けました。
◆ユリイカ、まだやってたんだ。昔、学生のころ、吉田健一さんがよくこの雑誌に書いていて、毎号チェックしていたものだ。
このサイズ、なんてよぶのかしらないけれど、総会屋系の左翼誌とか、当時このサイズがずいぶんあって本屋の棚一列ぐらいはうめていた。こっちもいちいちチェックしていたんだから、体力あったよな。面白かったし。
で、今回、研究者だの「詩人」だのの寄稿を拾い読みして、びっくりした。程度低いというレベルじゃないぞ。昔の自己満同人誌でもここまでのはなかなかお目にかかれない、というレベル。
「知」の世界に人がいっていないんだね。才能が。普通に理屈のとおる文章が書けるほどの人は、みんなビルに立てこもって銭金の世界で冷や汗ながしてるんだね。
などと、速断していいのか、たかが雑誌一冊拾い読みしたでけで。
だいたいそんなもんだろう。
◆蓮見氏といえば東大駒場だ。映画ゼミやっていてやたらにエピゴーネンを排出、じゃない輩出した。東大新聞は、買って購読していたが、裏面、日経でいうと私の履歴書のある場所に映画評があって、なんだかわけわからない理屈をこねているやつがいた。なんだか犬の名前の筆名だった。狆とかいった。面白かったぞ。
かすかに記憶にあるのが、2001年宇宙の旅は垂直と水平の映画だ、とか。理屈は忘れた。
蓮見エピゴーネンは文体ですぐわかる。みんなもってまわったやたらに一文の長い、しかも冒頭は本題とははずれる暇話のようなことをくどくど書き連ねる文章を書いた。
あれから30年だ。早いものだ。あと何年だろう。
話かわるが、これが当方の考え癖、最近の。
なんでも昔話。でさいごは、あと何年か。
新しいことは、なんだか億劫だ。わくわくどきどきは京都を最後に以来さっぱりだ。
トホホな日常。