啓発舎

マジすか? マジすよ

春宵一刻値千金

クロール1000メートル。
ビールがうまい。そこら中の窓を開け放って、梅雨間近のすこし重たい、ひんやりした夜気をいれる。しつこいようだが、この国のいちばんいい季節。その最上の味わい方は、これだと思う。
窓を開け放って、一杯。
きのう作ったちりめん山椒が、あて、だ。自家製。醤油をほとんどいれないのが当方流。知る限り、この味に匹敵するのは、下鴨茶寮のやつだけだ。

 平安神宮薪能で、薄暮の空を、青鷺(だと思う)が二羽、能舞台上空を賀茂川のほうから東山方面に向かって飛んでいった光景が脈絡なく浮かぶ。

 難儀だぜ、というつぶやきが聞えるような、少しよたよたした飛び方でした。でかいしな。

 鷺といえば、永観堂にはじめて行ったとき、小ぶりの庭を見ながら、給茶機の無料サービスの薄い番茶を飲んでいたら、バスタオルのような布切れが空から落ちてきた。
と思ったら、こいつが鷺だった。
 池の魚に悪さしにきたようだった。

 永観堂といえば、はいって右手に、茶店がある。
 人気のない午後、そこで連れを待ってぼーっとしていたら、アヒルだか鵞鳥だか、がどこからともなく現れて、当方の目の前で集会をはじめたことがあった。20羽はいたな。飼ってるんだね。
 なかには、おおっぴらに怪しいことをおっぱじめる奴らもいて、当方の存在などまるで眼中にないようでした。
 当方、げんなりすることがあって、鳥にまでおちょくられるのか、としみじみトホホした記憶あり。

 春の宵、ゆるやかに時は流れる。