啓発舎

マジすか? マジすよ

長駆新富町にて歯医者と果たし合い。


今回も、「はーい、それじゃ、はじめに測定しましょうね」ということで、しかしなんだ、どうしてこういうときって、いきなり幼児をあやすような物言いになるのか、おれはぼくちゃんか、ということで、上下すべての歯に6か所ずつ都合いくつになるのか観測してなにやら呪文を唱え始め、助手がそれを筆記する。
7番ガイソク★◎ステーCPλμ6番Ω、とかやっていて、たまに、エキストー、という語を発する。当方はこれを聞き逃さない。
前回の経験則で、これを、「この歯はぬいちゃえ」という意だと学習しているのだ。
エキスト→exit→お払い箱 みたいな符牒であろう。
これが2回あった。
二本も抜くのか。


今回も、後半は、抜く抜かないの押し問答に終始した。
あれこれあって、時間切れ、ひと月後に再戦ということになった。



というわけで端折ったわけだが、一部始終を臨場感をもって語るのは、おれには無理だ内田百間の筆力が要る。
こういうときに非才を痛感する、などと百間と自分を比べる相変わらず身の程知らずなおれだ。


百間と床屋のやりとりを読んでいると、その場の空気まで体感するもんな。
あと、間、ね。
百鬼園入道とおやじ、沈黙が領する空間。




結局あれだ、自分を他人に任せる、放り投げる恐怖、ということに尽きるのだろうね、床屋と歯医者に共通するのは。

でも床屋は、痛くないぞ、ふつうにやっていれば。

歯医者は、痛いですよ。
筆力はともかく、痛さを追体験するようなことはやりたくない、というのが啓発舎主宰のホンネのようだ。