「クセが強すぎる」キンチョウのCM、50年にわたり受け継がれる“面白さ”の遺伝子
という見出しに触発されて。
なかみも、割とおもしろだった。
こういう記事は、如何に筆をおさえるか、にかかる。それができていた。
キンチョウは、当たりはずれがある、おいらには。
世間で受けた、郷ひろみと柄本のやつとかは、ダメ。
仕組んでるかんじ、してやったり、という。
おれが忘れられないのは、中村雅俊さんです。
熱海の旅館大広間、社員旅行の宴会、というかんじの設定。
中村は司会です。
いきなり、「なんとかかんとかちんたらで、あちゃらかほちゃらかキンチョール」と、かまし、「プリーズ、社長」と、いざなうと、下手から、じじいが頭上にキンチョウのスプレーを乗せて、浴衣がけで、現れ、手旗信号のような踊りをはじめる。
広間では、腰元風が、そこここで、直立し、その手旗信号をなぞる。
宴もたけなわ。
それだけ。
もちろん商品の宣伝も効能も、一切なし。
キンチョウとの接点は、冒頭中村の言葉の羅列に挿入されるキンチョールという商標名、しかし、当然文脈は不明、および、「社長」頭上に縛り付けられたキンチョールとおぼしい映像のみ。
一体、キンチョウは、これで、何を訴えたいのか。
これ見て、明日キンチョール買いに行く奴が何人いるか。
あるいは、キンチョウのブランドイメージは、好感度は、飛躍的に上がるか。
沢口お姫様靖子にあえてやらせる、とか、郷ひろみをシュールに使うとか、竹藪で踊らせて武富士をおちょくる、とか、には、仕掛けが、理屈が、感じられる。
中村のには、それが一切、少なくともおれには、感じられなかった。
「ナンセンス」という大正モダン語は、この映像のためにある、といって過言ではない。
という能書きは、もちろん後付けで、はじめてみたときのインパクトがすべてです。
なんだか、最近のがいいらしいが、地上波民放は、おれは。
というわけで。みないですます所存なり。