啓発舎

マジすか? マジすよ

岩波『図書』4月号届く。

 

しかしなんだね、世の中がこうなってくると、毎月末に、きちんと届いて、ビニールの包みをひっちゃぶいて、開いて読んで、悪態ついたり少しほめたりする愉しみ、というのが、貴重なことだ、としみじみ思う。

ありがたいことです。

 

山室信一氏の連載「モダン語の地平から16 エロとグロの後にくるもの(2)」は期待にたがわぬものだった。

 

冒頭のかまし、引用ではあるが、は、強力だ。

 

乱歩全集の惹句である。

抜き書きしたいが、さすがに面倒だ。

 

その第二弾か三弾で、「何ぜ売れる?」という広告も出され、というくだりは、少し笑った。

 

こういう方面の語彙は、からきし弱い、では小言悪態業界には通暁しているか、といえば、それもたいしたことないのではあるが、ともかく、言葉数の豊かさには圧倒される。

 

さっきの「何ぜ売れる?」という自問の回答は以下だ。

「グット時代を掴んでしるからだ! 怪奇! 怪奇! 悉くが刺戟の蠢動だ! エロといえばエロ、グロといえばグロ、幻惑と悩乱が読者の魂を狂舞せしめねばおかぬ! 正視を虐殺する凄惨と狂喜の世界! 覗き見よ! 乱歩全集の扉の奥に何を見る!」

 

と、な。

 

30年代初頭のこの国に、こんな豊穣なブンガクがあったとは。

 

時代精神だろうか。

それもあるだろう。

ただし、ここまで飛翔、というか、はめはずす、というか、やけくそ、というか、であるためには、乱歩の筆力をおそらく上回る、これをものした名もない編輯の力、こそ多とすべきであらう。

 

岩波のへたれ編集もすこし見習うといい。

 

◆片山某の連載終了、というか、打ち切り、というか。

 最終回で主人公武満まだ19歳だぞ。

 しかも、弦楽のためのレクイエム、というのは初期作品です、がどうしたこうした、でぶった切るように終わっている。

 ジャンプの連載打ち切りだって、主人公が旅にでる、とか、なんか格好つけるぞ。

 無理やり引きずりおろしたんですかね。

 

こういうのは遠慮なくおもしろだ。

 

 

完璧なひまつぶしができた。

 

岩波の編集よ、ありがとう。

へたれ編集の狙い、とは全然違う愉しみ方であるとしても。

礼を言うぜ。