靖国の向かいの中華でおそい昼飯食ってたら、6~7人ぐらい、どやどやと入ってきた。全員おそろいの青のつなぎ。中華料理屋によくいる建築関係か。
と、思いきや、面々の醸し出す空気が、ただならない。
一瞬当方にも緊張が走る。
当方の正面に席を占めたので、普通に前を向いて食ってると、いやでも視界にはいる。
4人と三人にテーブルがわかれて座る。
当初の印象とは異なり、4人組は青の、なんというんでしょう、建築というより、お近くの市ヶ谷方面関連みたいな、防災出動か、という風体。グラサン、ちょび髭。これで、市ヶ谷ではなさそうだ、と見当がつく。陽気。
対し、三人組は、全員黒系のスーツ、地味なネクタイ。そろいもそろって陰気。青ぞろえと好対照。
会話はもっぱら四人組が主導する。スーツはほとんどしゃべらない。
当初は、誰それのクルマはガソリンメーターがいかれてる、おれのは、ブレーキがどうのと、クルマのボロ自慢。
左折するとき右に切るだろ、それでさ、などの会話から、大型免許の世界のようだ。
そのうちに、そういえば例のやつのイッシンハンケツはいつだっけ、と話題がかわる。
なんでも、ムセンを切ったきらない、で「ゲンニン、ゲンニン」などとわめかれたことが、今度の一審判決につながったということのようだ、聞くともなく聞くと、ということは全くない、あれだけ大声で話せば、店内丸聞こえだよ。
濡れ衣、らしいのだが、その件はあっさりおわり、執行猶予がでるかでないかで延々盛り上がる。
ここまで書くと、向かいの7名、内訳4+3のプロフィールが、いやでも、鈍感をもって鳴るこのおれさまにも、うすうす浮かび上がってくる。となりの男女など、そそくさと切り上げて席を立つ気配。
おれは、ニンニク芽炒めてんこ盛りと格闘はじめたばかりなので、そうはいかない。
で、20分ほどでしょうか、おつきあいしたのである。
いやあ、現実に主宰がいあわせた状況で、これほどのおもしろは、年単位で思い当たらない。
とっさに二年ぐらいまえの箱根ばばあ集団バトルが浮かぶが、これはおもしろ要素は3ぐらいで残りの7は嫌味、という配合だから、今回のようなおおらかさに欠ける。
◆声が一番よく届く位置は、裏門のあそこだ
◆今日久しぶりに◎★さんを見かけた、無事だったんだ。
◆昼飯くったら解散しようか、ばかやろう喜ぶのはKC庁だけだ
など、魅力的な断片が当方の脳髄にダイレクトに働きかけ、恍惚となりました。
ゆるんではマズい、と渋面をつくりつづけるのがたいへんだったよ。
春か、という陽気だ。