啓発舎

マジすか? マジすよ

ブンガクの時間です。
岩波「図書」に拾い物あり。
楽園の向こう側 福嶋伸洋
文章が、いい。
コパカバーナで強盗に遭うくだり。
淡々と書き進める文字を追うと自然に筆者と緊張を共有する。
全編平易な文章で気負わず割合重いことを語る。
お若いのに立派なものだ。

これを読んだあと、おなじ「図書」の、どれでもいいが、たとえば、えーと、師岡さんという、こちらも存じ上げない方だが、梨木香歩さんと交代で書いている人、のものに目を通すと、その過剰な自意識が、ほとんどけたたましく感じられる。

若松さん、誤読なにが悪い、というお立場からか、漱石キリスト教霊性論というご自身の陣地までひっぱる勇壮なお手並み、腕力に敬服です。願わくは、その体力が完結まで持ちこたえられんことを。次回は、漱石と言語阿頼耶識、あたりで如何。
池澤夏樹は誰がみてもすでに生き恥レベル、このまま連載させていいのか、編集は呑気にオリンピックの感想言ってる場合か。あるいは、さらしものにする深謀遠慮か。
いずれにしろ、年取ればいいってもんじゃない、と自らを省みる。


というわけで、今月の「図書」「波」の面白合戦は「図書」の圧勝だ。実にスリリングだった。