啓発舎

マジすか? マジすよ


英国大使館向かいのお堀端。
満開です。


鳩は本物。






さて、お待ちかね「図書」4月号が届いた。
こないだ褒めたばかりの若松英輔さんの連載が始まったので、びっくり。
漱石
漱石と若松さんは、どうか、というのがとっさの感想だ。
相性というものがある、世の中には。
案の定、「こころ」だそうだ。
「こころ」は、おれに言わせれば漱石の作品ではない。
いや、「おれの漱石」の作品ではない、というのが正確な言い方だ。
漱石のなかで、よりによってこれを選ぶのが若松さんで、「道草」だけむさぼり読むのがおれさまだ。


題材が漱石でもなんでも、井筒さんがちゃんと登場するのは、若松さんの評論のお約束だ。
さらに、「独創的な深層心理学的、形而上学的視座を提示する哲学的な作品」としてこれに取り組もうというマニフェストがなされるが、どうか、いいけど。
人間のどろどろに手をつっこんで見事にコケた失敗作、と評価が定着している、おれさまの裁定だもちろん、この作品に「形而上学的視座」で取り組む稚気を買おう。
イスラムでもスーフィーでもなんでも禅とかなんとかの自分の考え癖に引っ張り込んだ井筒師匠と芸風が似てきたか。
と、初回から決めつけてどうする。
ともあれ、若松さんの考え癖による究極の誤読に期待したい。ほんとに。



あと、文庫解説のやつ。
面白い、今回は。
小公女は、ガキのころおれも読んだ。
秘密の花園とか小公子とかといっしょに。
筋も、今回のやつを読んで、そうそう、と思い出したが、特段思い出みたいなのは、出てこない。女の子の世界だからしょうがないか。
小公子は、いまでも忘れないくだりがあって、セドリック、という主人公の名前も覚えている、が初めておじいちゃんちに行くところで、馬車だか車だかで門をこえると、美しいお庭が延々続き、鹿だのなんだのが遊び、なかなか邸宅にたどり着かない、というところ。
どういうお屋敷なんだろう。
この「つかみ」で物語にすっかりはまってしまった。
頑固なおじいちゃんがだんだん心を開くんだよね。もいちど読んでみようか。こういうのがブンガクというものですよ。

で、本題、今回の解説抜粋だが、面白れえじゃねえか、どいつもこいつも。
「小公女」という素材がよかったのか。
いろんな切り口があるんだね。おじさんはすっかり感心してしまいました。
斎藤美奈子投手の見事な配球で試合自体は7対1で斎藤アマゾンズの完勝だが、曾野綾子選手に対しては日頃の私情がでたか、直球が高めに浮いて失った1点が惜しまれる。

えー、というわけで、斎藤投手が「説教臭い」とストレートに難じる曾野選手のは、いつもの曾野先生節、と、おいらは素直に面白く読んだ。
野球選手は世を忍ぶ仮の姿で、その実体は、郵便ポストが赤いのも電信柱が高いのも全部自己責任と説教してまわる、そう、この方こそ、誰あろう、歩く産経新聞と畏れられる大先生なんですから。
金太郎あめの芸風を、おおらかに鑑賞したいものだ。
ともあれ、こんなところにも曾野節が、とほじくりだした斎藤先生の手並みを多としたい。

今回の岩波は面白度満点。