啓発舎

マジすか? マジすよ

四番町図書館は出先なので蔵書は少ない。それでも雑誌を読みにいくついでに、たまに肩の凝らない本を二三冊借りるのだが、今回はずっしりきてしまった。

◆終わらない庭 
 三島由紀夫 井上靖 大仏次郎 著
◆ひととせの
 古井由吉

「終わらない庭」は、昭和の「三大作家」が「宮廷の庭」をめぐり思うところを書く。
 掲載順に、三島は仙洞御所、井上靖桂離宮大仏次郎修学院離宮
 よくある企画だが、さすが文豪は全く手を抜かず、それぞれ真摯に庭と対峙する。
 ちゃんと、個性がでる。
 三島は観念の遊戯。
 井上靖は作庭の経緯にも言及し、一歩距離を置いて向き合う。
 大仏次郎は、没入。

 三島、井上もそれぞれ、堂々と庭と向き合っていたが、無論、修学院と一体化する大仏次郎が当方の眼目。

 ちょうど10年前、京都のあたりにいた時分、三つのお庭それぞれに足を運びました。
 一番通ったのは修学院だ、都合五回、いや六回か。
 桂が三回ぐらい、仙洞御所は一回きり。
 この回数が、当方の好みをそのまま表している。
 それぞれの庭についての話もいつかまとめたいが、今回は大仏さんのものしたところについて。

 その没入ぶりが、当方の体験と完全にシンクロしたのであった。
 筆者が修学院と向き合って魂の震えているさまに打たれ、当方も改めて修学院を追体験した、のでありました。


 少し頭を冷やしたい。


 古井さんのエッセイも瞠目だ。
 記憶とか、音とか、自分の中の心象をさぐりながら文章を紡いでいく感覚。
 これについては、また今度。