雪に降り込められた一日。
一人雪を見ていると、体も心も冷えて、しんしんとしてくる。
冷え寂び、という言葉が浮かぶ。
心敬の境地には及ばないだろうけれど。
遠く、欅の大木が神社の鳥居の奥に何本かあるのだが、その天を射すような梢に雪がまとい、厳しい線を一層引き立てる。
聚光院の襖絵が二重写しになる。永楽の強靭な線。
龍安寺の雪景色。柿の老木。
雪の修学院離宮。
金閣。
おれに是非をいうな 激しい雪が好き
だったか、野村秋介の句を思い出す、午後からはそんな雪になった。
実は、身辺いろいろあり、瞋恚、といって差し支えないような、にぶい塊が体のなかに湧き上がるような、そんなことが、このところ、ある。
今日の雪は、そんな消し炭のような私の裡に、直接降り積もるようで、その清冽さが、しみじみと心に沁みる。