岩波「図書」10月号届く。
若松英輔さんの連載が、打ち切り、いや失礼、終了、と。
折角毎号たのしみにしていたのに。
来月号から、なにを楽しみに・・・と思ったら、強力な新人があらわれた。
辰巳芳子先生だ。
料理研究家でいらっしゃるそうだが、存じ上げなかった、のは、おれぐらいなものか。
ドイツ人は飯を食うとき「まめまめしく」ろうそくに火を灯す、んだそうな。
せっかくのお酒ですから、魂を養うつもりで火を灯してみてください。
とのご託宣。
他にも、ビールの泡は油を嫌う、小ぶりのビアマグをつかえの、呑み切ってからつげの、「蛇足とは思いましたが書き添えておきます」、というご親切ぶりだ。
最後のだめおし、いや、結びのお言葉は、「お酒はくれぐれも量をお過ごしになりませず、薫り高い菊の香をお供に、しっとりとした秋の夜長をお楽しみください」と。
これを読んで、ばばあ余計なお世話だ、という啖呵をおれに期待してはいけない。
若松さんの喪失を辰巳さん、という新顔がカバーする。
編集の心憎い配慮、人選の妙といえよう。