人が普通に話す会話は、一番日常的な音楽である。
話す、という行為の第一義は、音楽を奏でるということである。
という前提で、今回の岳温泉の旅は、妙なる、暖かい音楽に包まれた、類いまれな二日間だった。
福島のお国言葉に接するのはたぶん初めてだと思うが、なだらかな、自然な抑揚が美しい。
やわらかで温かい響きがある。
平素、人と人とのやりとりで意識せずに張っている自分の裡がすこし弛むのがわかる。
音楽というのは、そういうことだ。
たとえば、ブルックナーのアダージョは、そういう音楽だ。
音楽をクラシックとかジャズとか形式で分類するのは便宜ではあり否定しないが、受容する規準としては適切ではない。
あるのは、いい音楽と、そうではない音の羅列、の二種類だけです。
二本松市の方は、日常、美しい音楽に囲まれてうらやましいです。
今回の感想はそれに尽きる。