啓発舎

マジすか? マジすよ

きのうはツールがお休みだったので、晩の愉しみがへった。
てきめんだ。
なぜツールが面白いか。


脱力、でしょうね。
テレビでみる当方はもちろんいつものようにぼーっとしているのだが、やってるほうも、なんか暇そうに見える、選手も関係者も。特に平地のレースは。
もちろん実際はそんなことなくて、なんだかんだたいへんなんだろうけど、絵としては、選手は隣どおし「お前いくらもらってるんだよ」とギャラの相談してるみたいだし、伴走車のスタッフは、「ったく、どいつもこいつもちんたら走りやがって」と苦虫かみつぶしているように、みえる。
沿道のおやじは、半ズボンに、とりあえず最初につかんだやつを適当にはおってきました、というよれよれのシャツで、茫然と見物している。
ほとんど、おれだ。
おいらは、今現にここでこうしてビールのんでるはずなのに、なぜおフランスの田舎道でぼーっとしているのか。
と、一瞬自分のアイデンティティーを失う、わけないか。


で、また、その道の並木が、バルビゾン派みたいで、いいんですよ。
何気ないのに美しい。


おフランスの田舎は絵心をさそう。
神戸でみたポールシニャックを思い出す、これは点描だが。
シスレー、コロー、モネ。
南部の田舎はセザンヌそのものだ。朱の屋根と箱のような家。
湿気のない透き通った空気。


解説で、ベルギーの退職おやじは、夏、終日家に籠ってテレビでこれを見るのが人生で一番の愉しみだ、とか言っていた。
なんでベルギーなんだか文脈はわからなかったが、本家おフランスもイタリアもだいたい一緒だろうと思う。


極東は時差があるからおわると夜中になるのだが、暮れなずむ空をながめやりながら、そろそろ始まる、とビールを手にする喜びは、何に例えたらよいだろう。



ということで、おやじは国境をこえて勝手に連帯する。