啓発舎

マジすか? マジすよ

今回のオバマ騒動では、メジャーマイナーの媒体問わずおいらの見た限りいまのところ以下が一番シャープ。

緒方林太郎2014年04月26日 21:00TPPの将来(続)
※出典BLOGOS 太字、編集はおいら

(要旨)
・ TPPは別に特殊でもなんでもない。特殊なのはアメリカ。
・ アメリカの関税撤廃の主張は、細部はともかくとして国際ルール整合的ではある。ただ、日本の主張も国際ルールに沿う最大限の努力をしている。
・ FTAに関する国際ルールは時代に即していない。
・ アメリカの主張から「自由貿易」の理念系が減った。
・ 交渉は「Nothing is agreed until everything is agreed」。ちゃぶ台返しを恐れるな。
・ シェールガスの確保のためにはTPPが必要。

(本文)
 TPPの将来について少しだけ思い出したことがあったので、もうちょっとだけお付き合いください。

● TPPなんて、その性質上、FTAの一つに過ぎない。
<中略>
昔から言っていますけど、「TPPが特殊なのではない。アメリカが特殊なのだ。」ということです。別にTPPという協定のストラクチャー自体は普通のものです。そして、アメリカの特殊性をもう少しブレークダウンすると、「日本との関係が(安保等も含め)極めて深い」、「押しが強い」、そして「過去にも嫌な思いをしてきた」ということになります。

● アメリカの関税での対日本要求は(おかしなものも多いが)基本的なところは国際ルール通り。
<略>
● ただ、このGATTルールは時代に即していない。

 実は上記のGATT24条8は、元々何を想定していたかというと、私の理解するところでは「ベネルクス三国」の経済統合みたいなものです。
 GATTの規定では、関税は一国に対して下げるとすべての国にそれを適用しなくてはならないという最恵国待遇というのが基本です。ただ、経済規模が小さいベネルクス三国でそれをやってしまうと、オランダがご近所のようなルクセンブルグに対して関税を撤廃すると、それを日本にまで適用しなくてはいけないとなるのは、経済政策上不都合が生じるので、「実質的に貿易の障壁が全くないところまで経済が統合しているのであれば、その相手だけに関税を下げるという、最恵国待遇の例外を認めてもいいですよ。」ということで設けられたのがGATT24条8の規定です。
 全然、今のFTA華やかなりし時代など想定していなかった規定です。ただ、時代が変わり、WTOドーハラウンド交渉が動かない中、最恵国待遇での関税下げが全く進まなくなり、世界のパラダイムFTAの方に移ってきました。そこに適用されているのは、「ベネルクス三国」の経済統合のようなものを前提としたGATTルールなのです。
<以下略>
● アメリカの主張から理念系が減ってきた。
<中略>
アメリカはそれでももう少し「自由貿易」の理念を語っていたような気がするのです。最近のアメリカは理念系すら語らなくなって、雇用、市場シェア増大のためになりふり構わずやってきたな、という実感を持っています。自動車の関税協議で、アメ車が日本で売れなければ対日本車関税撤廃の期限を遅らせる、なんてこっぱずかしい議論をアメリカから聞くとは思いませんでした。
● "Nothing is agreed until everything is agreed"の原則を貫け。
 簡単に言い換えると、「交渉は一つのパッケージ」ということです。最終的に纏まるまでは何も纏まっていないのです。フロマン通商代表は、それがプラスになると思えば、どんどんちゃぶ台をひっくり返してきます。こっちも時には(計算された)ちゃぶ台返しはやってもいいでしょう。新しい論点を提起するのもありです。
少しクールダウンするわけですから、もう一度冷静に得失を見直して、押すところ、収めるところを整理し直すといいでしょう。日本人の感覚からすると、「ちゃぶ台返しはやっちゃいけないかな。」と思いがちですが、相手はジャイアンです。こちらも星一徹くらいの強面でいいはずです。
● シェールガスのことも考えよう。
 TPPに反対する方は、原発反対である方と正の相関性があるような気がします。そして、原発反対の方が注目するエネルギーとして、シェールガスがあります。このシェールガスとTPPは密接な関係があります。

 今、アメリカの国内法では、シェールガスの輸出は個別の認可制です。ただし、FTAを締結している国への輸出はその手続きがきわめて簡略化されます。事実上、自動的に輸出できるというふうに見ていいでしょう。シェールガスがどの程度将来性があるかは、まだまだ議論のあるところですけども、実はシェールガスに期待するのであれば、TPPを推進しようという結論にしかなりません。見逃されがちですけども、韓国にはシェールガスが自由に輸出できるけど、日本にはそうではない、という現実があり、その違いはFTA(ここではTPP)の有無であるということです。

 今日はどちらかと言えば、TPPの将来というよりも、日本の通商政策の将来でしたね。小難しいところはお詫びいたします。

この人、ちょっと長い、GATTのくだりは同じ内容反復もありちょっとくどいので、以下おいらなりに要約する。

GATT最恵国待遇、みんなで同じルールにしようね、がコケてFTAの流れになり、オバマ組が傘下のすべての団体にではなく安倍組だけ目当てに、あがりのN%おれに回せ、と凄んでいる。
 一度はちゃぶ台ひっくり返せよ、でもシェールガスの見返りもあるから、それにオバマ組もおっかないし、落とし所も探ろうよね。

というところか。