鈴本昼席をのぞく。
遊び納めとか言った舌の根もかわかないぞ。
入船亭の品のある芸風を、堪能しました。
扇辰さんにしてもトリの扇遊さんにしても、ここまで美しく日本語を操れる方は、そうはいない。
ところで、良し悪しの判断はおくとして、一番インパクトがあったのは、すず風にゃん子、金魚だ。
客から受け取ったバナナを舞台で食い始めるのには、心底びっくりした。
初めてみたので、お約束なのかハプニングなのかはわからなかったが。
とりあえず判断停止状態で、みなさんと一緒にゲラゲラ笑っていました。
不思議な漫才で、うまいか下手かと言われればもちろん下手、ではある。
コンビなのに妙に距離があって、袖のほうでわけのわからないパフォーマンスをするぼけを突っ込み役が中央で実況する、という体裁。
すきだらけ。
風体が異様なのはいいとして、芸を練っていこうとか、ネタを仕込んでいこう、というプロっぽさが、まるで、全く、とことん、感じられない。
荒っぽい段取りはあるんだろうけれど。
主宰はといえば、不覚にも最初から最後まで笑い転げたさ。
で、そのあとが、扇辰さんの端正な「ちはやぶる」。
この落差を楽しまない手はない。
扇辰さんは、冒頭、ただいまのはやけくそ芸です、とコメントしていらっしゃいました。
最近の寄席通いは、どいつもこいつも芸が洗練されてきていて、落語が続くと、ちょっと息が、という気分になることがままある。
おれは、今日「すず風」、どこがだ、を見て、従って、こういうのはどんどんやるべし、と思った。
お品のあるやつは誰だろうとぶちのめす、完成の域の芸、気取った芸はこれをぶち壊す、という色物は絶対必要だ。
その意気やよし、果たして本人たちが自覚しているかどうかは不分明であるが。
落 語 入船亭 遊 京
太神楽曲芸 鏡 味 仙三郎社中
落 語 入船亭 扇 蔵
落 語 古今亭 菊 之 丞
漫 才 ロ ケ ッ ト 団
落 語 鈴々舎 馬 風
落 語 柳 亭 市 馬
も の ま ね 江戸家 小 猫
落 語 柳 家 権 太 楼
お仲入り
漫 才 ┌すず風 にゃ ん 子
└すず風 金 魚
落 語 入船亭 扇 辰
落 語 柳 家 は ん 治
奇 術 アサダ 二 世
落 語 入船亭 扇 遊