ブルックナー:交響曲第9番 ニ短調 WAB109 (2021-22年SPCM版*第4楽章付き)[*日本初演]
池袋。
◆「初演」の終楽章がなかったら名演
◆都響の合奏能力にびっくり
まず、ホルンとティンパニを誉める。
言うことなし。
低弦。
チェロのふくよかな響きは、日の本一だ。N響なんか問題にならない。
これにコントラバスが加わる音圧、迫力。しかも、しなやか。
なにしろホルンおよび持ち替えワグナーチューバがよいので、弦の合奏とあわさった響きは、三国一、いや世界で一番でないの。
ベルリンフィルの生聞いたことないけど。
一連の流れの頂上で混濁しない黄金色の音響があふれる時空間。
などと俗流批評家のような言葉をつい羅列してしまう。
ブルックナーは、実演きかないと、と、つくづく思った。
これで弦の内声部にもうすこし気合がはいれば、都響、この国では、一等賞じゃないの。
,
これにインバルさんがどこまで関与していたか、インバルさんの材料不足で当方には判断できない。
が、オーケストラの自発性をここまで引き出したのは手柄だ。
終楽章は、どうでもいいや。
素材がとっちらかったまま投げ出されて、そのまま終わる。
うねりながら頂上へ、のカタルシスがないと、ブルックナーではありません。
1000歩ゆずって断片にはそれぞれ正当性がある、としても、これも疑わしいが、ブルックナーは、ここから呻吟始めるのだ、おそらく。
これをどう構成するか。どう展開するか。
神に捧げているわけですから。
都響再発見の収穫はあり。
年寄り割引はあるし、スポット参戦するか、これから。