ひとと会う用事。
お造りだの天ぷらだの。
まわりは、ひそひそ話のおやじ二人組のみ。
そんなに長っ尻ではなかったが、中瓶一本ですっかりよい心持ちになりました。
料理もおいしかったけど、いちばんは、環境です。
この国在来種のおやじどもがかもしだす空気です。
同じ体液の組成、濃度の安心感というのは、なにものにもかえがたい。
通奏低音は、かすかな諦念、お気楽、トホホ、など、「やることはやりましたよじじい」が発する情動、波動が奏でる音楽。
ヒト、とくにそれが群れ集まる状況は、いやだ。
それは、たぶんかわらない。
だが、属性の一部を同じくする個体がたまたまあつまったことによる、調和した時空、という稀有の環境の中であれば、憩うのにやぶさかでない。
これでいいのだ。