きのうは神保町で数字の用事があったので、ついでに東京堂で立ち読みした。
◆栗原康氏の一遍の評伝は、世評どおり面白かった。
一遍さんは、ロックスターだったんだ。ロックのなかでも過激なほう、パンク方面かな。安全カミソリをイヤリングにする流派。
文体を褒める書評が多いが、おれは、もう少し抑えたらどうだい、と思いました。自分を棚に上げてなんだが。
中身は良いと思います。一遍さんは、念仏は、つきつめるとこうなる、ということを身をもって体現したんだね。
この流派のきついところは、24時間365日踊り続けるわけにはいかないので、ふと我に返ったときどうするか、ですね。
静かななかにもトランスを維持するにはどうするか、が課題だ。
おれに聞きに来たら、こっそり教えてやったのに。
◆丸山健二の分厚いのが平積みになっていた、懐かしい名前だ。
この人のエッセイは好きだった。安曇野にこもって警世の語を発し続けるという芸風。
イヌワシとかバイクとか、小道具がしぶいんだよね。
文章もよかった。
重そうなので手に取らず。
◆まえに来た時、岸田森の評伝が面白くて飛ばし読みでほとんど通読してしまったのであったが、今回はなかった。細部を確認したかったのだが残念。前回危うく買いそうになったのだが文庫で1000円以上するのはおれのルールに反するので思いとどまった経緯あり。
実の伯母である岸田今日子氏の語る逸話が特に面白かった。理詰めで演技するほうなので、ショーケンと水谷のアドリブに相当ヤラれていた、というような。
東京堂の品揃えは、改装前のしぶいかんじが少しもどってきて、よくなっている。
その昔、3階に、棚まるごとひとつオウム真理教、コーナーなんてありましたね。
棚一面ピンク色、オウム本の背表紙で。
心温まる思ひ出だ。
今日は雨なので外出せず清らかに過ごします。