啓発舎

マジすか? マジすよ

◆マイルスデイヴィス自伝を一気に読了した。
 面白い。
 いろいろ感想がある。
 思いつくままに。

 たいへん頭の良いおじさんです。
 毒舌家で自分以外はけちょんけちょん、というイメージがあったが、とんでもない。
 ミンガスとかコルトレーンとかモンクとかに注がれる暖かいまなざし。
 評価も的確だと思う。
 内容は、音楽、クスリ、音楽、女、音楽、クスリ、誰それのこと、にほぼ尽きる。
 やたらに人の名前がでてくる。あいつとやった、こいつとやった。
 やった、というのは三種類の意味があるが、演ったが7割、ヤったあるいはキメたが2割、やったあるいはまぐわったが1割、といったところか。
 索引が面白い。人名も事象もごちゃまぜで出ているので、使用する用語から作者の関心事が浮かび上がる。
 ア行から順に、多いのを抽出する。
 キャノンボールアダレイ、トニーウィリアムズ、ギルwヴァンス、デュークエリントン、ロンカーター、デェイジーガレスビー、警察、コカイン、五二丁目、ジョンコルトレーンコロムビア、ジャズ、ウェインショーター、セントルイス、バドパウエル、チャーリーパーカー、白人、ハービーハンコック、批評家、プレスティッジ、ヘロイン、セロニアスモンク、ロック、ソニーロリンズ、および、女の固有名詞。女の名前は、頭数は多いが一人当たりの登場回数は概して少ないので、まとめて略。

 「セントルイス」があって「ニューヨーク」がないなど索引にのせる語彙選択の整合性に若干問題なしとしないが、それでも、上の抜き書きからマイルスさんの頭の中が自ずから明らかになる。

 五二丁目を徘徊し、チャーリーパーカー以下錚々たるミュージシャンと「やり」、クスリも「ヤり」、たまに女とも「やり」、コロムビアに金を無心し、警察のご厄介になり、白人を呪詛し、批評家と戦う。
 これぞマイルスの生きる途。

カッコいい。