啓発舎

マジすか? マジすよ

デュトワのベト7

N響第1771回 定期公演 Bプログラム
サントリーホール
指揮:シャルル・デュトワ
チェロ:ゴーティエ・カプソン

ラヴェル組曲クープランの墓」
デュティユー/チェロ協奏曲「遥かなる遠い世界」(1970)
ベートーヴェン交響曲 第7番 イ長調 作品92

寄り道して帰ったら、日付けが改まってしまった。
ビールワインビールビール状態なので、手短にしたい。

ビールワインビールビールをするぐらいだから、今夜のコンサートは、盛り上がった、私が。

結論は、クープランの墓 の勝利。
ラヴェルは、前回のシーズンでメルクルさんが小曲集をやったが、比較するのは悪いが、比べ物にならない。同じオーケストラで、こうも違うか。


一言で言う。ピアニッシモの緊張感。
フィルハーモニー12月号紹介では、「デュトワの演奏の骨格をなしているのは、明晰なリズム」と書いてある。それもあるが、私は、ダイナミクスだと思う、一つと言われれば。

クープランの墓は、オーボエコンチェルトだと思う。オーボエを中心とした木管アンサンブルに弦が加わる。
今夜のコンサートもプルトを絞っていた。チェロ3プルトコントラバス4人。

室内楽ですよ。


木管と弦の絡み合う弱音の音色の美しさよ。
N響会員は皆さんマナーいいけど、今夜の静寂は、特筆すべきものがあった。

で、この弱音の緊張感が、ベト7にまで持続するわけです。

終楽章なんか、ピアノ→クレッシェンド→ピーク→またピアノ→クレッシェンド→まえより高いピーク
というアベノミクス相場みたいな展開になるのだが、この弱音に落ちた時のふわっとした感じは、こういうマッチョな曲では、めずらしいと思う。
クープランの墓イズムの勝利、といえよう。

あと忘れないうちに。
2楽章冒頭チェロは、割とおおらかに歌っていたように思う。
おいらもアマチュアオケで10年ぐらい前この曲やったが、なにしろ、音を落とせ落とせで、ほとんどお通夜みたいになるのだね。
それでいいんだ、だって葬送の音楽だろ、みたいな解釈が一般的、だと思うのだが、今夜は、割合おおらかに演奏していました。
いいじゃん。OKですよ。


というわけで、デュトワ色は十分でていました。
今、N響を一番シビアに統率しているのは、たぶんこの人だと思う。

と無条件に絶賛するのも癪なので最後に一言。
バイバイさよならね、のジェスチュアと、後頭部の黒い盛り上がりは、いただけないので5点減点。
セコバイのNミネ氏だって姑息なビホウ策をついに放棄しているのに、ですぞ。