◆科学技術館の弦楽器フェアにでかける。
晴天。北の丸公園。
クレモナの500万クラスから日本人製作家のものまで、都合、どうだろう20本以上の楽器を試し弾きした。
ある程度の値段以上は、楽器の個性の違いで、客観的に明らかな音色の差というのは、少なくとも聞く側にはわからないと思う。これが結論。
弾く立場でよかったのは、クレモナのマエストロの工房で若手の作った作品。200万円、と。
500万円は、あまり感心しなかった。
店の人が、名前代ですよ、と。要は、ある程度のクラスの作家になると、名前に値段がつく、だれそれだと400万、というように。ということ。
これで対応は決まった。様子見だ。
◆東御苑から日比谷公園へ。松本楼。
◆書原まで歩き立ち読み。梅棹忠夫氏のインタヴューをほぼ全巻たちよみ。買わなかった。
実地を検証しなさい、自分で考えなさい、と、要はそういうこと。
ほんとにそのとおり。
で、ここまでお世話になって、イタリアはじめヨーロッパへのオマージュを捧げないのは、礼を失することになるだろう。
◆テレビでだが、ルマン、を見た。栄光のルマンという邦題で、71年か72年ごろ封切りしたやつだ。テアトル東京に、同級生と観に行った記憶がある。スティーヴマックイーン。
もちろん、ストーリーなど記憶の彼方。
今回、はじめて観たようなものだが、ヨーロッパ、というものをかんじた。40年前の映像だが美しい。製作者は、間違いなく、マックイーンでも、ポルシェがレースに勝つストーリーでもなく、ヨーロッパの粋と、その中でモータースポーツに淫する人々を描ききりたかったのだと思う。
◆今日、一番いいと思ったチェロの作者が実は、試奏している当方のすぐわきで談笑しているイタリアのおにいさんだということが店員さんの耳打ちでわかった。
ロン毛、紺地に縞のストライプ、錨型のスーツ、金髪20代、ジゴロ風のイタリアぼうや。
なんというか、照れもせずこの風体。ファッション。
かっこいいぞ。
音は、刺戟的なところがまったくない、やわらかで落ち着いた色彩。発音もしやすい、弾きやすい。
ご本人をよく見ると、柔らかな印象は、確かにある。
ヨーロッパの粋、ダンディー。
◆これもテレビだが、BBCがガリア戦記の再現ものをやっていた。登場人物は、カエサル、もちろん、と、なんと、ウェルキンゲトリクス様だ。私のヒーローの。
で、まず感動したのは、ナレーションが、ちゃんと、「ウェルキンゲトリクス」と発音したことだ。
本で読んでると、西洋の人の名前って、自分の理解でいいかわからなくなる、オランダの人とか。音読しないし。それを、「ウェルキンゲトリクス」と、ほんとに言っていた。あたりまえか。
カエサル役の俳優だろうか歴史家だろうか、とウェルキンゲトリクス役(以下ウェルキンと略)の同じく俳優or歴史家が、闘いに臨んで抱負を語る。籠城するガリア軍包囲するローマ軍。そこにガリアの援軍が現れて、そして・・・という展開。
BBCらしい生真面目な、作品。
ヨーロッパ。
◆今食い終わったところだが、アルチェネロのトマトソースであえたディチェコのパスタ。オリーヴオイルをだぼだぼかけて。
◆普通のテーブルワイン。一本750円ぐらいの。
◆おとな、ということだと思う。
愉しむ、ということも見落としてはならない。
おとな、が、愉しむ。
◆世界は、日本だけではない。
お能と茶と禅と苔の庭だけではない。