NHKが好調。
きのうは、NHKスペシャルの桂離宮と吉本隆明の講演。
特に吉本隆明。
芸術言語論だったか。
自己表出となんとか表出。
要は、言語にはやむにやまれず表出する他とのコミュニケーションを前提としない言語と、他との疎通の道具としての言語があり、芸術はその大半を前者に負っている、という論か。
くりかえしくりかえし、一所懸命話していた。
意外と訥弁。年のせいだけでもあるまい。
生意気言うと、その言語化する前の、言語化という情報処理をする前の、言語を介在しない知覚あるいは体感、のようなもの、ベクトルをそっちに向けるとなにが出てくるか、ということは吉本さん、どうなんでしょう、ということもお聞きしたかった。
ここで、これも最近、加藤周一氏の晩年の声を記録した番組が浮かぶ。
プラハの春に立ち会ったこと、それについて、加藤氏は、どうしても言っておきたい、と。
両者とも、混じり気のないひたむきさが胸を打つ。
関心の対象は異なるが。
二人の立ち位置の違いがわかる。
対象の中に飛び込んでなにかをつかみとろうとする姿勢と、常に対象を外部におきこれを判ずる立場。
当方の気持ちが自然に寄り添うのがどちらか、は言うまでもない。
きのうの吉本さんは、見ていて元気がでた。励まされた。
磁力のある人だと思う。
どうかお体を大事に。