東洋経済 08年2月23日号 の記事 「ばあちゃん農業」地帯 西日本一の棚田が滅びる を読んでいたら、体の中から暖かいものがこみ上げて、少し動揺した。
経済誌らしく、「特集/「食」の戦争」という特集記事のひとつで日本の農村の疲弊の事例として書かれた記事なのだが、当方の体が勝手に反応したのは、編集の意図とは違うところにあるようだ。
長く連れ添った夫を亡くし、ひとりで棚田を守るばあちゃん妙子さんの話。
以下、少しだけ抜粋。
妙子さんは午前5時に起きると、仏壇に向かってあいさつし、自らを奮い立たせるようにして乾布摩擦する。そして、4頭の牛と、2匹の犬と、4匹の猫に「おはよう」と声をかけながらエサをやる。こうして一日が始まるのである。
<中略>
「私は土に賭けちょる。この泥臭いにおいが好き。そしてやがて私もこの土に帰るじゃろうね。」
<以下略>
40年間働きづめに働いて、つましく暮らし、土に帰るというばあちゃん。
観照という言葉が浮かぶ。この言葉が、自分の中でやっと収まったようだ。