京都観世蛍雪会に行ってきました。
番組は、以下。
◆観世流能『高砂』
シテ:宮本茂樹 ツレ:松野浩行
ワキ:原大 ワキツレ:小林努・有松遼一 アイ:山口耕道
笛:相原一彦 小鼓:吉阪一郎 大鼓:谷口有辞 太鼓:前川光範
地頭:大江又三郎
◆大蔵流狂言『土筆』
シテ:茂山忠三郎 アド:茂山良暢
◆観世流能『胡蝶』
シテ:浅井通昭 ワキ:村山弘 ワキツレ:小林努 アイ:安東伸元
笛:光田洋一 小鼓:伊吹吉博 大鼓:河村大 太鼓:前川光範
地頭:井上裕久
◆観世流能『鞍馬天狗』
シテ:田茂井廣道 ワキ:清水利宣
子方:河村紀仁・分林道隆・橋本淑香・大江美乃・浅井僚子・河村香穂・浦田こころ
アイ:茂山忠三郎・茂山良暢・枡谷雄一郎・山口耕道
笛:杉信太朗 小鼓:曽和尚靖 大鼓:石井保彦 太鼓:前川光長
地頭:武田邦弘
今日の三つの演目に共通するのは、おおらかさ。
高砂、胡蝶、いずれも、正月らしい、すがすがしく晴れやかな演目。
しかし、なんといっても今日の眼目は鞍馬天狗。
初めてみたのですが、盛りだくさんですね。
まず、いきなりシテが直面ででてくる。シテがはじめに出る演目は、当方の乏しい観能体験のなかでは、初めてです。
その後、アイに続いて、子方がぞろぞろと登場。
こどもは、かっさらいますね、場を。
とりわけ、まわりの大人たちが皆しかめっつらですから、無邪気さがいやまして、なんとも愛くるしい。
役目を無事にすませ、登場とおなじように子方ぞろぞろと退場すると、牛若ひとり残り、なぎなた片手に直立不動。
最後までよく辛抱しました。
木の葉天狗が、ミニ狂言をして(でんぐり返しつき)ひっこむと、いよいよ大天狗の登場。
座って張良の故事を語ったり、橋掛かりを往復して兵法を伝授したり大活躍です。
牛若に深深とお辞儀をして去ろうとすると、牛若が駆け寄り、袖を引く。
シテの方のおおらかな舞い、子方の牛若のりりしい姿、いやあ、心に沁みました。
異形のものとこどものとりあわせは、本来神話的な世界を現出するものですが、この演目の場合、すこし、人間的な、色っぽい空気がありますね。