啓発舎

マジすか? マジすよ

せぬひま と 観世喜正師

4月13日(金) 「せぬひま」公演 大江能楽堂

○素囃子『神舞』
 笛:森田保美 小鼓:吉阪一郎 大鼓:河村大 太鼓:前川光範
○一調『錦木』
 謡:片山清司 小鼓:観世新九郎
○一調『橋弁慶』
 謡:観世喜正 小鼓:吉阪一郎 
○一調『杜若』
 謡:吉浪壽晃 太鼓:観世元伯
○一調『春日龍神
 謡:分林道治 太鼓:前川光範
○素囃子『花重蘭曲』
 笛:一噌隆之 小鼓:観世新九郎 大鼓:柿原弘和 太鼓:観世元伯
観世流舞囃子『弱法師-盲目之舞』
 シテ:片山清司 地頭:観世喜正
 笛:一噌隆之 小鼓:観世新九郎 大鼓:河村大
観世流舞囃子『融-酌之舞』
 シテ:観世喜正 地頭:片山清司
 笛:森田保美 小鼓:吉阪一郎 大鼓:柿原弘和 太鼓:観世元伯

 東京から「神遊」(かみあそび と読むそうな)を招き、東京と京都の囃子を聞き比べていただきます、という趣向。パンフレットより抜書き。

 堪能しました。
 どっちがどう、というのはこの際野暮だ。

 神舞はロックしていたし、花重蘭曲の緩急も面白かった。
 一調のかけあいもそれぞれスリリングだった。
 様ざまな趣向を楽しませていただいた。

 最後の融までは。

 ここで、全然別の舞台になりました。

 観世喜正という方を舞台で拝見するのは初めてだ。
 NHKで、ポンジョの生徒に能を教えるのにてこずっているのをみたぐらい。

 ところが、これが凄かった。

 空間。
 流れるような舞い。空を切り裂き、満たす。 
 空間を領するフォルム。

 気。
 直面の強靭さ。息苦しいほどの気迫。

 そして時間。
 舞いの流れるような自在な動きに時間が伸び縮みしながら従う。 

 こうなると、見るほうも、対峙する気迫が必要だ。
 疲れました。

 最後にこの人がすべてかっさらっていった、という印象。

 これだけの短時間で、これだけの情報量は、ちょっと未だに咀嚼しきれない。
 加藤さん、当方が「日本文化における時間と空間」を体感する、これが一例です。

 時空で遊ぶ、ほとんど弄ぶということ。

 美しい、ということ。