本のはなし。
結構読んではいる。
◆トゥキディデス 戦史
これは古本屋で買った。世界の名著。400円。
寝しなに開いたページを読む。昨日読んだなと思っても読む。
事実経過の叙述と、誰それの演説がかわるがわる。
ヘロドトスの歴史と抱き合わせなので、比べることになるが、この人は少し理屈っぽい。名前もめんどくさいので以後ツキジデスにする。
変換すると、当然、築地です、が最初にくるので、それでもいいのだが。
面白いのは、アテナイとメロスのやりとりだ。
大国が弱者に向き合う本音はこうだ、どうしてもそれが言いたい、という築地です氏の鼻息が聞こえる。
倨傲、ということでしょうね。
面白いのは、おまえら血も涙もねえのか、後世からやいのやいの言われるぞ、とメロスになじられて、
全然平気、それがどうした、ととことん居直るところ。
いったん認めるんですよ。
まさにそのとおり、それで。と。
人間は2000年たっても全然かわらない。
いま、この関係を、たとえば中国と東南アジアに置き換えても、そのまま通用する。
漱石を読む古井氏を私が読む。
たぶん、漱石よりも、古井氏を読んでいるのだろう、私は。
漱石の漢詩評釈より、寄り道にそれるところのほうが面白い。
こう、深々とするかんじですね。
講演の筆記なので、筆者の考えぐせみたいなものも辿れる。
寄り道。
日本人のつくった漢詩といえば良寛さんだ。
評釈は入矢さんと、吉本さん。
これも両方とも面白かった。書棚にある。
さらにそれるが、吉本興業さんは、この良寛とか、親鸞とか、あと、西行とかが、いちばん高みにあると、おれは思う。
共同なんとか論は、何度読んでもよくわからない。
論旨がたどれない、おいらには。背景の理解が足りないのか。
入矢さんは、良寛さんの悟境にまで言及していて、凄いなあと思います。
と、言いながら、詩自体は、漱石も、良寛も、とりあえず評釈なしで字面を鑑賞したい。
これは、鑑賞か、観照か。
骨、夢、愁、などが目立つ。
骨は、病骨、骨肉、など自分のことです。
骨、という字は、パワーありますよ。
そのまま、死、に直結するのはもちろんだが、気骨、土性骨、という景色も。
死、とか、打殺、とか、魔界、なんてことばも遠慮なく使ってます。
こんど、漱石の漢詩全部一気読みしてみようか。
読むというのか、漢字をながめる、というのか。
愉しむ、とか、淫する、というのが本を読む醍醐味なので、こういう本があるとうれしい。
これで5年はもつ、というかんじ。