啓発舎

マジすか? マジすよ

本のはなし。


結構読んではいる。


トゥキディデス 戦史
 これは古本屋で買った。世界の名著。400円。
 寝しなに開いたページを読む。昨日読んだなと思っても読む。
 事実経過の叙述と、誰それの演説がかわるがわる。
 ヘロドトスの歴史と抱き合わせなので、比べることになるが、この人は少し理屈っぽい。名前もめんどくさいので以後ツキジデスにする。
 変換すると、当然、築地です、が最初にくるので、それでもいいのだが。

 面白いのは、アテナイとメロスのやりとりだ。
 大国が弱者に向き合う本音はこうだ、どうしてもそれが言いたい、という築地です氏の鼻息が聞こえる。
 倨傲、ということでしょうね。
 面白いのは、おまえら血も涙もねえのか、後世からやいのやいの言われるぞ、とメロスになじられて、
 全然平気、それがどうした、ととことん居直るところ。
 いったん認めるんですよ。
 まさにそのとおり、それで。と。
 
 人間は2000年たっても全然かわらない。
 いま、この関係を、たとえば中国と東南アジアに置き換えても、そのまま通用する。


漱石漢詩を読む 古井由吉
 これは図書館。

 漱石を読む古井氏を私が読む。
 たぶん、漱石よりも、古井氏を読んでいるのだろう、私は。
 漱石漢詩評釈より、寄り道にそれるところのほうが面白い。


 こう、深々とするかんじですね。
 講演の筆記なので、筆者の考えぐせみたいなものも辿れる。


寄り道。 
 日本人のつくった漢詩といえば良寛さんだ。
 評釈は入矢さんと、吉本さん。
 これも両方とも面白かった。書棚にある。
 さらにそれるが、吉本興業さんは、この良寛とか、親鸞とか、あと、西行とかが、いちばん高みにあると、おれは思う。
 共同なんとか論は、何度読んでもよくわからない。
 論旨がたどれない、おいらには。背景の理解が足りないのか。


 入矢さんは、良寛さんの悟境にまで言及していて、凄いなあと思います。


 と、言いながら、詩自体は、漱石も、良寛も、とりあえず評釈なしで字面を鑑賞したい。
 これは、鑑賞か、観照か。


 骨、夢、愁、などが目立つ。
 骨は、病骨、骨肉、など自分のことです。

 
 骨、という字は、パワーありますよ。
 そのまま、死、に直結するのはもちろんだが、気骨、土性骨、という景色も。


 死、とか、打殺、とか、魔界、なんてことばも遠慮なく使ってます。


 こんど、漱石漢詩全部一気読みしてみようか。
 読むというのか、漢字をながめる、というのか。


 愉しむ、とか、淫する、というのが本を読む醍醐味なので、こういう本があるとうれしい。
 これで5年はもつ、というかんじ。