NHKBS モスラ対ゴジラ
ガキの頃、クラスの半分ぐらいはみたようだが、おれは見られなかった。
メリーポピンズとかオリバーとかそういうのは見せるくせに、怪獣ものは連れて行ってくれなかった、うちの両親は。
みんな、見に行ったもんだから、学校で、モスラとかゴジラの絵を書いたりする。
特に、卵の絵。書きやすいからだと思うんだけど、飛行船みたいに、鉄骨の格納庫の中にある、その格納庫のディテイルに、観に行ったんだ、いいな、と思ったことをよく覚えている。
ゴジラ、突然名古屋に出現。
ゴジラのいいところは、伏線はらなくても、いきなりどこに出現しても不自然でないところ。
誰もが唐突に出現したゴジラを、「あ、ゴジラだ」と受け容れる。
尾張名古屋は城でもつ、ちゃんとお城に現れて、すっ転びながらお約束どおり義理固くお城を破壊、さてこの後のご予定は。
と、突然画面がかわりテレビの臨時ニュース。
名古屋に出現したゴジラは現在東に向かって移動中です、と淡々とニュースを読み上げるアナウンサー。
ゴジラは台風か。
モスラ〜や モスラ〜
は、その頃みんな口ずさんでいた。
「や!」でちゃんと、切る、節を。
ザピーナッツ扮するインファント島の双子が悪漢の前に現れるところは抱腹絶倒だ。
突然、一味のアジトに現れ、置時計のあたりで「卵を返してください」と可憐に訴える小人二人に対して悪漢二名がとった行動は。
やおら上着を脱いで、小鳥をとらえるみたいにつかまえにかかる。
突然、身長15センチぐらいか、のお襄さんが二人現れてなにか言い出したら、とりあえずびっくりすると思うんだよね。
出現に当惑。お、なんかしゃべったぞ、なんだなんだ。気味悪いな。これは現実か。でだいたい30秒はほしい、リアリズムのためには。
それを、現れた事実をなんというか所与のものとして普通に受け止め、「返してください」のメッセージにも即応し、「なにを言うか」てなもんで、大の男が二人して床下這いまわって採集行動。
昭和39年の日本人はおおらかだ、ゴジラも小人も日常感覚で受け容れる。
でもあれだぞ、東京オリンピックの年だ。おいらも、黒い弾丸ヘイズを国立競技場でみた。こういうのは連れて行ってくれるんだね。
後半、おれは、卵からかえったモスラが羽化してゴジラと戦うのかと思っていたら、双子の幼虫が口から絹、か、をはいてやっつけるのでした。
今見ると、ゴジラを悪役と認識することが難しく、後半のゴジラとモスラ幼虫とのからみは、そこだけ見ると遊んでいるようにも見えてしまう。
宝田明と★百合子(変換したら、ホントにこうなったからそのままにしておく)と小泉博は、いつも仲良く3人並んで会話をする。横に並んで。たまに藤木弘がもう一枚加わってギャグをとばしたりする。
というわけで、昭和の香りです。