というわけで、時事ネタに逃げる。
麻生さんに登場願うしかないでしょう。
日経だったと思うが一行情報でこれを初めてみたときは、ひやっとしました。そういう人、多いと思う。
いままでのいつもの麻生の「またか」というやつとは、たぶん次元が違う。
案の定、イスラエル方面からいち早く抗議がきたようだ。いきなり国際問題。
文脈は、憲法改正については冷静に議論しよう、という、たぶん、趣旨のようで、それ自体は、別に、というかんじだが、ひっぱってきたこの例えは、全然関係ないはなしだ。地図のお寺マークに似たシンボルをもつドイツのあの党が、ワイマール憲法下で政権を獲得した、という話と、憲法改正論議を静かに、という議論は、まったく別だろう。
しかし、それは今回の主眼ではない。
この人の失言癖について、おらも一言言いたい。
実はやめた職場に、似たおやじがいた。
上から目線の失言癖はまったく麻生と一緒で、麻生ほどではないが出自を自慢するところも同じ。
といっても別にたいしたことない。
この国の企業社会は、こういう奴は好まない。おらの会社でも排除されて、ぱっとはしないわけだ。
本人も、それはどうでもいいと心得ていて、自分のフィールドは文化教養だ、と決め、その分野でたかびーなのであった。
東に、「今世紀最大のなんとか展」があれば3時間並んで入場し、西に「かんたらフィルハーモニー来日公演」あれば新幹線に飛び乗って駆けつける。
で、強引に当方を昼飯にさそい、あーだこーだ言う訳よ。
で、おらの立場からは、こいつはなんというか風除けになっているところがあって、こいつが目立つおかげでおらは策を弄さずにさぼれる、というところがあり、二回のお誘いに一回はつきあいで聞き流す、ということをやっていた。便利なやつなんだよ。おらもサラリーマンしてた。
で、そいつが、だ、自分の出自とむすびつけて、これもたいしたことないのだが、いやぼくの伯父がね、とか、なんとか、要は、教養は血筋だ、みたいなことを言うんですね、たいした血筋じゃねえんだが。くどいか。
で、お山の大将スタンスを勝手にとって、「失言」しまくるわけだ。
聴き手はおらしかいないから、「失言」の対象はおいらなんですけどね。おいらはへらへら聞き流してるから失言には当たらないのか、公じゃないし。
まあ、要は、国際なんとか教会でしゃべったら世界中から非難が、みたいなことを、敢えて言う。
ただ、それを聞き流しながらずっと思っていたのは、強烈な、湧き上がるようなコンプレックス、劣等感であったのだ、実は。
だから聞き流していてあまり苦にはならなかった。
それはしかし、考えてみると、いや考えるまでもなく、おいらがそいつをハナから馬鹿にしきっていたということは火を見るよりも明らかで、おらがいちばんひでえ奴なんじゃねえか、登場人物のなかで。と、いま思ってももう遅い。
よろしい、それは認めよう。だが、この議論を展開すると、「おらも悲しみがとまんねえ」の話にもろに直結して、あぶない。そこから逸れる他人事の与太をとばすのが本稿の目的だから、おいらの話はよします。いま、おいらのまいた種でいろいろトホホなんですが、ね。
で、もどすが、絵を見ても音楽を聞いても、こいつにはなにも残らない、感受性のレセプターが全くないのは、5秒でわかる。
いきおい、こいつの話は、「感じる」ではなく「知ってる」話になる。
福田和也になる。ピエロになる。
うすうす感づいているのか、したがって、自分が如何にそのフィールドに通暁しているか、だれそれかれそれの外野席を引っ張ってきて、身内だの赤の他人だのの権威をひっぱってきて能書きたれるわけです。
温厚を持って鳴る、わけないが、おいらも流石に・・・というシチュエーションで、例えば白隠!がどうのこうののとき
「君、さすがに白隠はしらないだろうけど」
「よく知らないですが、達磨さんがころんだ、みたいな人でしたっけ」
「・・・」
で、黙らせる、ということはよくやった。
音楽については、おいらが楽器やってることもどこからか聞きつけて、おいらにはしなくなった。
麻生の報道に接すると、必ずこのおやじを連想する。
ワイマールの話も、大方ゴルゴ13あたりからパクったのだろうが、麻生にも、自分にぽっかり欠けているものについての強烈なコンプレックスが透けてみえるかんじがする。
「知恵」とか自分の頭で「考える」とか、に関することのような雰囲気が漂う、よくわからないが。
上からみているようでいて、実はそうでもない。
それがある限り、こいつの失言癖は直らない、と思う。
夜中だ。尻切れトンボになった。
そういうおまえは、という突っ込みもよく承知していますよ。
俗物ということではおれも一緒だ。
なにが尻切れ、かというと、麻生の話はどうでもいいのだが、いま、日常が割合シリアスなのでどうでもいい話と思って麻生を引っ張ってきたのだが、書いていて、新たな論点、即ち「知ってる」界の人々、を思いついたのだった。
麻生は、もちろんこの「知ってる」界の住人ではない、知らねえんだから。
そうではなく、欠落を埋めるために、「知ってる」を集める人々、というテーマ。
誰か、これで論文ものしてくれないか。