啓発舎

マジすか? マジすよ

紅枝垂れ

日課のように昼、靖国神社で桜をみている。
 が、どうしても、気持ちがふにゃっとしない。こんなこと、記憶にある限り、ない。犬にほえられても蜂に刺されても悲しいときでも、きっと、桜をみると、気持ちが緩んだ。私という人間が、あるいは、私を含むこの国で生まれ育った人々は、そういう風にできている、と当たり前におもっていた、のだが。
◆心の奥の奥に、はりつめているところがあるのだろう。犬も蜂も人も、しかたねえな、と思えるのだが、得体のしれない、人工的な、感情のない、禍禍しい、見えないが明らかに存在するこの、およそこの星で生きるものすべてに対する徹底的な悪意の純粋な邪悪さ、だけは、どうにも、受け止めきれない。
◆おそらく、周辺何十キロは、原っぱになるだろうこの先何十年と。人類が生き方をかえる契機となったできごとのモニュメントとして。

◆ベニシダレザクラで、一本印象に残る樹がある。
 枝垂れなのに、凛としている。ちょっと、厳しい、雰囲気がある。桜にしては丈が高く、下に立つと、遥か頭上から、枝ぶりの勁い線が降り注ぐ。
 しゃんとしろ、と。