啓発舎

マジすか? マジすよ

巣鴨 或いは客引きの黄昏

巣鴨で1000メートル。
 帰り、駅に向かう途中、どうしても呼び込みのお兄さんたちの前を通らないといけないのだが、なんだか、みんな元気ないね、最近。気の毒だ。
 呼び込みといえば、池袋。当方、高校から大学にかけて。
 文芸坐という二本立ての映画館があった。いまはどうだろう。
 で、駅から映画館に行く道が、すごかった。
 当時、条例だか申し合わせだかで、客引き、というのは、文字どおり袖ひっぱられたんだ、昔は、を防止するため、なんていうんだろう、ビッグバンドでラッパ吹くミュージシャンのボックスあるじゃないですか、ああいう、司会者席みたいな、演壇のような箱に入って、そこから呼ばわっていたわけだ、通行する人々を。手をだせないようにして。
 主任!、とか言われたな。社長!じゃないわけよ、高校生だから。
 「主任! どうですか、むちむち、ばっちり・・・」てなかんじ。
 まあ、冷やかされてたわけですね。
 いやだったよ。だいたいむずかしい映画みにいくところなんだから。
 博士の異常な愛情も、ビスコンティも、ここでみた。
 みんな元気だったよな、呼び込みも。私も。
 帰りに、そのキャバレーだのなんだのの並びの中華料理屋でラーメンチャーハン食うのが楽しみだった。節約のため、映画二回に一回ぐらいだったが。

 巣鴨の客引きのおじさんで、そんなことを思った。