啓発舎

マジすか? マジすよ

野上弥生子さん

書名 随筆 一隅の記
著者 野上弥生子
出版社 新潮社

 こう暑いと外に出る気にならない。
 で、読書。
 凛とした涼やかな気分になりたい、ということで野上さん。
  
 最近、作品社から出ている「日本の名随筆」の一冊で「茶」中里恒子氏編を読んでいて、野上さんの「「私の茶三昧」という小品が面白かった。
 こういうアンソロジーは、自分の琴線に触れる書き手をみつけるのに都合がいい。

 今回取り上げた一冊は、その小品を含んでいる。
 個別にいちいち論評しない。
 静謐な気を感じればいい。
 
 このところ、好んで読むものに、女性の、しかもある程度の年配の方の書いたものが多い。
 ついついそうなる。

 日本の美を血肉化して自在である、というあたりが共通点か。

 お能にも通暁していらっしゃる。
 といえば、白州正子さんが浮かぶが、実は当方、白州さんには、少し、俗の気を感じる、もちろん、いい意味で。楽しい。目利き。
 野上さんは、風通しのよさ、広さ、ある種の透徹した感じ(特に晩年)、を感じます。