オルセー美術館展
神戸市立博物館
ずいぶん前にこのブログで予告したとおり、神戸までベルトモリゾに逢いに行ってきました。
さくさくとした筆の運び、背景の白の明るさ、傑出した画にからなず漂う静謐な空気。風通しのよい知性を感じます。美しいです。
会場の中にあるカフェで黒ビールを飲んで、しばし休憩して、また見に行きました。
実は、ゴッホの実物を見るのは初めてだったのですが、驚嘆しました。
「アルルのゴッホの寝室」と「アルルのダンスホール」の2品だけなのですが、他を圧倒していました。
特に、寝室。
端正、というのが第一印象。カチッとしている。絵の具が生きているというのか、盛り上がりが気持ちいい。鮮やか。右手にベッドの背がでーんとあるのですが、その木の肌。左手前の椅子の緑のクッションのタッチ。
本物の迫力。
それと、シニャック。おとといの鈴木其一といっしょで、実は、シニャックという人は良く知らなかった。名前ぐらいは聞いたことあるかな、ビサロとかシスレーのお友達かな、ぐらい。
「レ・ザンドリー、河堤」という題の印象派でよくある河畔の景色。水面にゆらぐ木々の影。これがたとえようなく美しい。
スーラの画「ポール=タン=ベッサンの外港、満潮」の左どなりに架かっていたのでどうしても比較してしまうことになるのですが、瑞々しさが全然違います。
さっきネットで確認して、スーラの弟子筋だということがわかったのですが、そんなこと知らないで見たせいか、点描という感じはしなかった。水面の描き方は、むしろ、モネの絵の具の置き方に近いように思いました。
陽光、すがすがしい大気が描きこまれていて、本当に見ていて気持ちの良い画でした。ほしい、と思いました。
あと、シスレーの「洪水と小舟」。
マネの「アンリ・ロシュフォールの逃亡」は、ジャーナリスティックな意味あいのある絵のようですが、そんなことはどうでもよく、画面のほとんどを占める荒波の、無造作に絵の具を塗りつけたようなタッチの見事さ。
その他、モネ、ルノアール、ゴーガン、ラトゥールなど。
ゴーガンの「黄色いキリストのある自画像」は画集でよくでているやつですが、その、描き方のせいでしょうか、実物に、格別オーラを感じないのは。当方の眼力が足りないのか。刷り物と実物の印象があまりかわらない。
ルノアールは、なんでしょうかねえ。色濁ってますねえ。
ラトゥールは、何点かあって有名な、マネとか画商とかが集まっている大きな絵もありましたけど、モネ、マネと並ぶと、芸術とよく出来た似せ絵の差が歴然。
ベルトモリゾに会いに出かけたのですが、今回も意外な収穫。
展覧会には結構行っているのだけれど、このところ、なんだか、面白くなってきました。
他人がなんといおうとこれがいい、というのが、やたらにはっきりしてきたようです。
大丸のオープンカフェでお茶して帰りました。
秋晴れの一日、いい午後を過ごせました。