啓発舎

マジすか? マジすよ

京都国立近代美術館に、「若冲と江戸絵画展」をみにいってきました。
素晴らしかったです。元気でました。

鈴木其一と長沢芦雪

特に、鈴木其一。
実は、今日実物をみるまで、この人、知りませんでした。琳派といえば、光琳、抱一どまり。
この展覧会、私のベスト1は、若冲でなく、この人の、「柳に白鷺図屏風」です。2番目は、やはりこの人の「群舞図」。その次が芦雪の「白象黒牛図屏風」か「神仙亀図」かな。

 展示室の奥まった一画に「柳に・・・」の絵を見つけたとき、どきんとしました。
 「群舞図」は小ぶりで、ずらっと並んだ中のひとつだったですが、見た瞬間、音楽を感じました。
 こんな人がいたんですね、それも、つい最近じゃないですか、19世紀中ごろといえば。
 洗練。洒脱。
 更に、柳・・・の絵は、凍りついたような静謐な中に、魔のようなものも感じる。

 芦雪は、知っていたので、インパクトは鈴木さんと比べると弱かったけれど、それでも、象と牛の絵など、迫力十分でした。あの大きさ、おおらかさ。カラスとか子犬を配置するユーモア。
 蕭白寒山拾得を見られたのも、拾い物。どうみても、聖人というより、いっちゃった人という雰囲気でしたが。

 今回の展覧会は、狩野派若冲一派、浮世絵、琳派、と総花的であったが故に、かえって近世の日本美術を俯瞰できました。
 私は、なんといっても琳派です。私のようなつむじ曲がりが琳派がいいというのは、自分でも少し意外ですが、でも、いいものはいい。

 琳派は、分かりやすい美しさなのですが、そのきんきらきんの装飾性には美というものの本質が閉じ込められている、と腹から思いました。
 美しいというのはこういうことですよ。こういうように様式化でき、余計なものを殺ぎ落とすと、こういうパターンになるんですよ。という。

 若冲は、皇居の東御苑でずいぶん見ているので(只だし)、なんだかんだいって個人のコレクションだし、ということで、実は、それほど期待せず、お能と抱き合わせ(観世会館はこの美術館の向かい)で見に行ったのですが、目から鱗の体験ができました。プライスさん、ありがとう。