啓発舎

マジすか? マジすよ

プレミアムシネマ「羅生門 デジタル完全版」
主演・三船敏郎、監督・黒澤明芥川龍之介の短編小説をもとに、人間の心の闇を描き、ベネチア映画祭グランプリを受賞した傑作。映像と音声を修復したデジタル完全版。
出演
三船敏郎,京マチ子,森雅之,志村喬,上田吉二郎,千秋実

芥川龍之介,
脚本
黒澤明,橋本忍
監督
黒澤明

この映画は、最近別の局でみたので見るつもりはなかったが、外での用事が早くすんだので、帰って事務をしながら、つきあった。


前回は、ちゃんばらのリアリズムを褒めたが、二度目なので、一回目にあった驚きはない。

クロサワという人は、良く知らないが、ヒトのとらえ方が、浅い、と断じるだけの人間理解を当方が持ち合わせているかどうかはなんだが、少なくとも、図式的ではある、この映画では。
映画がそうだからクロサワもそうだ、とはもちろんいえない。見せ方、ということはある。

しかし、人間50年も60年も生きてきたら、このストーリーは人間の悲惨、ではもちろんなく、滑稽に属するというのは、おれにもわかる。


何度もいうが、おれがヒトを鑑賞できるのは、それが、滑稽と悲惨、その抱き合わせである局面があるからだ。

滑稽は常に悲惨と表裏。

この映画は、もともと、悲惨、ですらない、男女の痴話を、ひたすらシリアスに、これでもかと突きつける。全然あそびがない。ばかだなあ。というのがない。
おそらくクロサワの人間認識はそういうことなんだろう。
まじめなヒトだね。

たぶん私には縁がない。おいしく酒のめない。

おやじは、おやじ的料簡は、グローバリズムだのヒューマニズムだのに目の敵にされる。
おれの根性を「おやじ」と一般化すると、全国のおやじに、そんな覚えはねえ、と一斉にいわれそうだが。

土俵は女人禁制というのは、そういう伝統、しきたり、習俗があって、人間の営為の時間軸を尊重すると、人間という生き物の「事実」をまずとらまえてみると、あとづけのイズムでこれを両断することの愚はすぐわかる。
それは男女平等に逆行するおやじのアナクロニズムだ。

スポーツから「きたないマネ」がなくなったら、ただでさえ興味のないおれさまがサッカーだの野球だのを見る動機が完全になくなる。


おれはオヤジの世界観が通じる「こっち」界だけで生きていくよ。


あと一言。
原作の芥川は、「藪の中」を上機嫌で書いた、おれには芥川のおおらかな笑い聞こえる。