◆マネ展。「マネとモダン・パリ」
これが、拾いもの、という言い方はいささかおかしいか、鳴り物入りの前評判だったし。
当方が懐疑的だっただけか。
まあ、思いのほかよかった。
例によって、駆け足で会場をひとめぐり。小さな個室が続き、三階から二階へ降りるなど、結構ほね。
で、目にとまったのが、静物画。「花瓶に挿したシャクヤク」と「牡蠣」。
じっくり見て回って、やっぱりこの2枚が圧倒的。あとは、「街の歌い手」というギターをもった女性像。モデルはオランピアの女性と一目でわかる。
タッチ。
シャクヤクの白の質感。近くでみると、無造作に絵の具をおいただけのようにもみえるのだが。
葉の緑。
牡蠣 レモン そえられているパン。
見ていることに生理的な快感がある。
マネの本質は、これだと思う。
これは印刷されたものでは、絶対伝わらない。
本物をみないとだめだ。
あと、「死せる闘牛士」の靴下の絹の質感。手で触るとかすかにひっかかる絹の感触まで見ているだけで伝わってくる。
黒とのコントラスト。
いずれも1860年代、若書きといえる頃。
「ラテュイユ親父の店」のテーブルに置かれたシャンパングラスの黄金色。
まとめてみることでわかることは確かにある。
マネは、油絵の具のタッチ。白と黒とのバランス、質感。これにとどめをさす。
静物画、私も一枚ほしい。