楽器屋さん。
書かなかったが、実はずいぶんまえからやりとりしていて、ブツも確定し、今日、最終段階の打ち合わせ。
のはずだったが。
最後だってんで、店に飾ってあるマエストロ級を数本試し弾きしたら。
出会ってしまった。
弦楽器はある程度のランクになると値段と音は必ずしも連動しなくなる。
製作者の「有名度」は、もちろん全然あてにならない。
名ばかりの巨匠もいるし、同じ製作者でも楽器によって、かなり出来不出来がある。
この店は、高い楽器も気前よく弾かせてくれるので、一回試奏室に籠ると長っ尻になる。
で、ずいぶん名のある作家のお高い楽器も弾いたのだが、ピンとくるものは一つもなかった。
それで、中堅どころのバランスのとれた楽器で、どうしてもそれでなければ、という思い入れはなかったのだが、いい加減このあたりで手をうとう、というタイミングだったのです、今日は。
かれこれ3か月。
それがよりによって。
店は鷹揚だ。
そりゃそうだ、値段2倍。
とりあえず、ホールドしていた今の楽器は解除。
「車は10年たったらクズ、楽器は10年後は倍ですよ」という何回聞いたかわからないフレーズを聞き流しながら、車は車でもプリウスとレクサスの違いは大きいぞ、と思い乱れる。
しかも若い作家。名前はそれほどない。
自分の耳のみが頼りだ。
或は触覚。体に響く柔らかい振動の質。
結局弾き心地なのよ。
自分の選球眼を信頼できるか。
お互い頭冷やしましょう、ということで、本日は解散。