グラモフォンのライブストリーム有料でバイロイトのトリスタン。
見ごたえあり。
トリスタンはくどい冗長、という苦手意識を払拭するぐらい、よかった。
シャーガーのトリスタンが与って力あり。
イゾルデのニールンドは、気の強いおばさん、というキャラで、私はそれでよいと思う。
代役のブランゲーネは、声の豊かさでは主役を凌駕していた。
トリスタンの子分というか相棒というか、は渋い、引いた存在感で、カーテンコールでも喝采をもらっていた。
いままでのは、これを男女のなにやらかにやらでやるからダメなの、退屈なの。
今回のように、初老の夫婦喧嘩、ではないな、対立的な取引の両当事者、のようにやるのが、よかった。あくまで当方の受けた印象で、制作の意図はちがうかもしれないが。
三幕の、身ぐるみはがされた中小企業経営者の慨嘆、のようなシャーガーは、ほんと、ぐっときたぜ。
このヒト、鉄工所の大将とか、工務店の現場主任、みたいな、街場のかんじが、演技してなくても漂って、おれは、好きだ。
で、手下の丸っこいおやじが、それに花を添える。
花、じゃないか。
このかんじでやるんだったら、トリスタンみてやってもいい。