北の丸。
天気がいいので神保町へ足をのばす。
東京堂。
イーヴリンウォーの伝記が平積みだ。外観は電話帳の迫力。
手に取る。おもしろ。立ち読みスイッチはいる。
レジのねえちゃんの気配を背中に受けつつ立ち読み続行するも、重さに負けて5分ぐらいか、で断念。
8500円なり。買えませんよ。これは図書館におねだりしよう。
それにしても、こんなしぶい本を平積みにする東京堂は、天晴れだ。
あと、堀田善衛の娘が書いた父親の本をすこし。
作家の身内、とくに娘が書いたものは、ほとんど、いや全部ダメ。吉田健一の娘のやつなんか話にならん。
とっつきにくいが情愛深いおとうちゃん。娘からみれば、銀行強盗もトランプも、ローマ法王、は独身か、も、おやじはみんな一緒です。
この本も御多聞に漏れないが、定家をバルセロナで書いたのは興味があったので、そこだけ読むと、当時の善衛自身の日記の抜粋があって、これは面白だった。
わざわざ異国の地で、あーでもないこーでもない、と狷介固陋じじいの暗号を解読する、偏屈じじい。
それを常に一軍の本棚におき、夜な夜な、でもないか、手に取るつむじ曲がりのおれさま。
イーヴリンウォーのやつは重いから寝ながら読めそうにない。
定家とイーヴリンウォーは、どっちが、より倨傲、狷介、冷笑、独善、露悪、尊大、か。
おれの美意識では、それは、いずれがアヤメかカキツバタか、という意味です。
数少ない、心を許せる知己、という意味です。
こっちワールドは時空を超える。