N響第1828回 定期公演 Bプログラム
グリンカ/歌劇「ルスランとリュドミーラ」序曲
ラフマニノフ/ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18
チャイコフスキー/バレエ音楽「白鳥の湖」作品20(抜粋)
指揮:トゥガン・ソヒエフ
ピアノ:ルーカス・ゲニューシャス
コンサート評は、槍が降ろうが酒を飲もうがその日に書く、ようにしたいのだが、ビール・ワイン・ビール黒が効いて一日たってしまった。
距離を置けるのはいいが、臨場感は減殺される。
一曲目のグリンカが、この日のベスト。
N響の弦の技術は、世界一じゃなかろうか。
疾走する愉悦。
軽やかなところは軽やかに、歌うところは朗々と、ソヒエフの指揮も柔軟だ。この人の音楽性とよくはまる。
ラフマニノフは、当方は求めて聞く曲じゃない。
ラフマニノフのこてこては、どうも。と、N響定期でラフマニノフやるたび同じことを書いてきた。
が、しかし、当夜の演奏は、思わず聞き入るところ満載だった。
その理由ははっきりしていて、指揮者がオーケストラを鳴らしまくったからだ。
ピアノをぶっ飛ばしたからだ。
こんなにオーケストラが、豊饒に、鳴る曲だったのか。
功績はピアノにもある。
どんなにコンクールの勲章ぶらさげようが、誰がなんと言おうと、この日の奏者は、はずれだ。パサパサな音の羅列。
いきおい、当方はというと、なるべくピアノを聞かない、あるいは聞こうとしないという積極性をもって臨むこととなり、結果オーケストラの豊かな響きに気づく。
こんな経験初めてだ。
なにしろ音がでかい。
団員のみなさんは大まじめだ。
ソヒエフ、あおるあおる。
美しいかどうかはひとまず措くとして、でかい、繰り返すが、音が。
これは、あり、です。
憂さ晴らしにもってこいだ。
ここで、ソヒエフさんに一言。
前回のチャイ5も熱血だったが、この人は、オーケストラから豊饒な響きを引っ張り出す天賦の才がある。
どんちゃん騒ぎは大好きなので、毎年来てくれるといいなと思うが、しっとり系も聞いてみたい。
成熟とかとは無縁でどんちゃん騒ぎ路線でも、いいと思うが。
ともあれ、ルスランとリュドミラはお見事だった。
というわけで盛り上がって、普段より過ごしてしまった、というわけ。