◆アイズ ワイド シャット
CSでみた。
実は、キューブリックは、DVDのボックスセットをずいぶん前に買っていたのだが、ボーナストラックを少しみただけで、他は全然みていない。
初めてみたのは、天王洲アイルか、恵比寿のウェスティンか、どっちかのヴィデオだった。
今回二度目だが、全体の流れは、さすがに覚えていたが、まるごと抜け落ちているシークエンスがいくつもあったのは、意外だった。
キューブリックの映画って、ストーリーとか俳優のどうこうより、個別のシークエンスの映像そのもののインパクトが強くて、ストレンジラブにしても、2001年にしても時計仕掛けにしてもバリーリンドンにしても、個別のシークエンスとそのつながりをほとんど覚えている、キューブリックの偉大さがあるとすれば、そういう風にみられる映画を作ったことだと思っていた。
今回、トムクルーズが下町をぶらついていて声をかけられた女のアパートに行くところとか、夜中に急患で呼び出されて、患者の身内の女に告白されるところとか、全く抜け落ちていた。
前回みたときは、やたらにクリスマスツリーの映像がでてくること、トムクルーズとニコルキッドマンの延々と続くやりとりがかったるかったことぐらいが印象だった、それと、研究室のような「ハウス」での男女のからみ。全然わいせつ感なし。
四文字言葉が主題の映画ではあるのだが、その四文字言葉を他人事のように扱っている。
トムクルーズは狂言回しだ。
映像はいつもながら美しい。
まるで無菌室のようなウソっぽいNYダウンタウンのセットは、私は好きです。
何日かまえにシャイニングも見たのだが、これはジャックニコルソンに頼りすぎたね。
キューブリックの映画の俳優は、誰も将棋の駒なのだから、そういう風に扱うのだから、この映画でのジャックニコルソンの、俳優の狂気の演技、と、奥さん役の恐怖のリアクション、だけでホラーをだそうと思っても、な。
血の海とか、ぬいぐるみとかはギミックでした。
バーテンの凄みぐらいか。